企画力がマーケティングに必要なスキルだとかは理解できるけど、そもそも鍛え方が分からない方は多くいると思います。 今回はマーケティング力の中でも特に企画力にフォーカスした鍛え方をご紹介しつつ企画力とは何かをもう少し掘り下げてみたいと思います。
そもそもマーケティング力って何?
そもそもマーケティング力とは何でしょうか。
企画力? 提案力? 調整力?
いろんな”力”がマーケティングには必要とされているようですが、 どれがどれだけ必要で、どのように鍛えていくか分かりにくいですよね。
第一、マーケティング力自体があいまいでは鍛えようがありません。
そこで、もう一度マーケティングを噛み砕いて定義していきたいと思います。
マーケティングとは、一言でいうと、正しい情報を正しいターゲットに正しく伝えることです。
売り方や販促などといったことではありません。
日本でのマーケティングは、比較的宣伝広告に寄っているようですが、本来の意味は違うのです。
※もう少し詳細な意味が知りたい場合は、こんなにも違う日本とアメリカのマーケティングの記事も参考いただければと思います。
その中で企画力はマーケティングの中でも最もクリエイティブな部分です。
クリエイティブは苦手という方でも、ある程度の訓練をすることで、企画に必要な発想力は身に付けることができます。
それでは、企画力の鍛え方を見ていきたいと思います。
企画力とは
企画力とは物事を創造する力のことです。
よく言われるのはクリエイティブというやつです。
この「企画力」って、意外とあいまいだと思いませんか?
面白いアイデアを思いつくとかを考えてしまいがちですが、ただ面白いだけでは意味がありません。
正しく伝えなければマーケティング力として成立しないからです。
そこで、こう考えて見ましょう。
「正しい情報をどうすれば正しく伝えられるか」を考えることがマーケティングにおける企画力です。
正しい情報を正しく伝えるというのは、意外と難しいのです。
なぜなら、正しい情報だと思っているものが、正しくない場合が多いからです。
例えば、商品に由来するものだと、正しい情報は簡単です。 それは成分だったり、重さだったり、客観的事実があるものについては、正しい情報はすぐに見つけることができるでしょう。
しかし、それだけの情報では不足しているのは当然のことです。
お客さんが一番知りたいのは「それを使って私がどう変わるか」なのです。
どう変わるかというのは、物理的な変化ではなく、お客さんの生活そのものを変える何かです。
その商品を使うことで、お出かけするのが楽しくなるとか、友人に会いに行きたくなるといった事が知りたいわけです。
正しい情報=商品の機能特性と捉えていたら、いつまでたってもお客さんの本当に知りたい情報は伝わらないのです。
犬が登場するAmazonのCMなんか見ていると、うまく伝えているなと感じます。
赤ちゃんが犬を怖がっていて、犬は赤ちゃんに近づくことができない。
そんな赤ちゃんはライオンのぬいぐるみでニコニコ遊んでいます。
その様子を犬は見ているのです。
お父さんが、そんな赤ちゃんと犬を見て、Amazonでライオンの襟巻きを購入。
その夜にライオンの襟巻きが届き、赤ちゃんはライオンのぬいぐるみに似ている犬にはじめて触れるというものです。
これ、何を伝えたいか、何が伝わるか、そして、その伝えたもので何が変わるかすべてがうまく融合していますよね!
Amazonが伝えたかったことは、商品がその日にすぐに届くということではなく、すぐに家族を暖かくできるということなのです。
早くつくという客観的事実はお客さんが知りたい情報(正しい情報)ではないのです。
もし、早く商品が届くだけに留まってしまうCM内容だったとしたら、きっと、ここまでの感動は無かったはずです。
つまり、企画力を身に付けるためには、マーケティング的な正しい情報を見つける訓練をする必要があるのです。
企画力を分解してみる
もう少し踏み込んで企画力を構成する力について考えて見ましょう。企画力とは何かを「企てる」力です。企てるとは、次の意味があります。
① 事を始める前に、その手順を考えたり、整えたりする。もくろむ。たくらむ。企図する。計画する。 「世界一周を-・てる」 「新しい分野への進出を-・てる」 「謀反を-・てる」
出典:weblio
ようは何かを始めるために手順を考える力の事が企画力なのです。もう一つ注意してほしいのが、企画をする起点です。
起点は事を始めようと思った時になります。では、どうして何かを始めようと思うのでしょうか。そこには何かしらの問題があるからに他なりません。
つまり、企てる必要があるのは、何かを解決するためです。解決の起点は問題定義です。この問題がしっかりと認識されていないにも関わらず、面白いこと(解決策)は企画提案できるはずがありません。間違った問題で解決策を考えてしまうと企画も間違ったものになります。
このように、企画力とは問題発見力が大切なのです。
正しい情報を見つける訓練
先ほど、マーケティング的な正しい情報の意味をお伝えしました。
正しい情報を得るためには、まずは正しい情報とは何かを知ることからはじめなければいけません。
Amazonの例でも触れましたが、正しい情報とは「その商品・サービスを手に取ってユーザーにどんな変化があるか」のことです。Amazonが存在することで人々をどのように豊かにしていくかをAmazon自身で問いかけているわけです。
先ほどのCMの例に見てみると「できるだけ早く家族を笑顔にしたい」といった問題に対し、Amazonが持てる強みを活かした解決策の提案なのです。
この訓練として最適なのは、切り口を変えるやり方が最も簡単です。
それでは、切り口を変えるとどうなるかを例題をあげながら解説していきます。
(1)誰が行うかを変える
あなたはケーキ屋さんの販促担当になりました。販促企画を作る場合、どのような企画を考えるでしょうか。
この場合、例えば家族・恋人・友人・同僚など誰でもいいので、そこに行ったらどうなるかをイメージします。
まずは恋人なんかをイメージしてみてください。
イメージできたでしょうか? それでは、同じ場面で、別の人をイメージしてみてください。
例えば、同僚とそこにいった場合はどうでしょうか。
母親といった場合はどうでしょうか。
このように、同じ場所でも”誰と行くか・誰が行うか”をそれぞれイメージすることで、そのケーキ屋さんの本質が見えてきます。
同僚とケーキ屋さん。まずありえないシチュエーションですが、無理やり考えてみて下さい。
無理やりイメージしたら、今度は何故、わざわざ同僚といったかを考えるのです。
もしかして、同僚のデートの予行練習に付き合わされたのかもしれません。
はたまた実はあなたが好きな可能性もあります。
取材の仕事でいったけど、気づけば相手のイチゴの食べ方にドキリなんて想像もありです。
このように、誰と行くかを変えるだけで、何通りものストーリーが簡単に考えられませんか?
そうすることで、おいしいケーキ屋さんという客観的な事実から一歩踏み出すことができます。
そこで問題定義です。この場合の問題は「恋人とケーキ屋にいってケーキ選びを楽しみたい」だと仮定します。どんな解決策が考えらえるでしょうか?
例えばこんな感じ。
- 必ずペアケーキがある(同じショートケーキでも男女で少し違う)
- ケーキ入刀を模擬体験できる
- お店の中は二人の空間。邪魔者は一人もいない。
このように、問題定義をしっかりしているとアイデアはたくさんでてきます。お店のコンセプトとしては、デートでケーキ選びをすると、必ず恋が成就するなんて素敵ですよね。
つまり、ケーキ屋さんの正しい情報とは、ただケーキがおいしいという客観的な事実だけではなく、ケーキ屋さんにいくことで人を幸せにすることなのです。
このように、誰と行くのかをどんどん変えていくことで、正しい情報にまでたどり着くのが早くなります。
企画力向上のための訓練としては、簡単な割りに効果がある訓練なので、普段から行うようにしてください。
(2)使い方を変える
これもよくある訓練ですよね。
例えば、ティッシュペーパーがあったとしましょう。このティッシュペーパーの使い方を100通り考えてみるというものです。
100通りも!? と驚かれるかもしれませんが、慣れてくるとなんとかクリアできるものです。
これも、有る程度定型の変更を持っておくと、引き出しやすくなります。
例えば、横にする、縦にする、逆さにする、丸める、複数使うなどです。
ティッシュの箱を立てにした場合、何が連想できるかは人それぞれですが、 ぱっと思いついたのは、これでドミノ倒しをしたら面白そうというものです。
横にしたら電車にもなるかもしれません。
丸めたらてるてる坊主が作れたりと・・・ティッシュ以外の使い方がたくさん出てきます。
あれやこれやしているうちに、ティッシュって、ティッシュの機能だけでいいんだろうかと考えるようになるわけです。
アイデアとしてはこんな感じでしょうか。
- 世界一てるてる坊主が作りやすいティッシュペーパー
- 使った後切り取ると電車になる
- ティッシュがきしゃの煙ぽく出てくる
こんなティッシュがあったら欲しいですね!
つまり、そのものの一般的な使い方をあえて外すことで、新しい発想が生まれてくるのです。
企画力を向上させるには、人と違った使い方を考える訓練が効果的です。
(3)いつ使うかを変える
その商品はいつ使うものでしょうか。
普通の缶コーヒーがったとして、いつ飲まれるのでしょうか。
この”いつ”を使うときは、比較的具体的ないつの方が良い結果を生みます。
一時期流行った”朝専用缶コーヒー”なんて誰も考え付きませんでした。この、時制に制限をあえて付けることで、逆に商品の利用シーンが頭に浮かぶのです。缶コーヒーというよりも、朝専用缶コーヒーといった方が、イメージがわきやすいと思います。
このように、使うタイミングという”いつ”の切り分けを増やすことが良い訓練になっていきます。企画例としてはこんなのはどでしょう。
- 髭剃り + 夜 = 夜専用シェーバー|夕方の伸び初めに効果的
- 髭剃り + 冬 = 寒い日も安心のウォーマー付き髭剃り
この”いつ”という情報は細かければ細かいほど良いです。
朝電車にのっているとか、夕ご飯を作っているなど、より具体的な”いつ”にした方が頭の活性化につながります。
最初のケーキ屋さんでも応用できますよね。
朝のケーキ屋さん、昼のケーキ屋さん、夕方のケーキ屋さんで、なんとなく客層が違ったりするのは分かると思います。
ようは、同じものであろうとも、時間という切り口を設けることで、別の見方ができるのです。
このように、物事に対し時間的な概念を持たせることにより、企画力向上につながります。
企画力はどれだけ物事を様々な角度で見ているかで変わる
最後のまとめ部分ですが、企画力は別の言葉で置き換えると発想力です。
どれだけ発想ができるかにかかっているといっても過言ではありません。
この、発想というのは経験やイメージ訓練をすることでしか磨くことはできません。
経験もない、知らないでは、発想そのものが出てこないのです。
今回の訓練は、その発想ができるようになるために、切り口を変えるというやり方でした。
そして、これはよく私自身も行っていることです。
企画力向上のポイントは、物事の正しい情報を見つけるために、切り口を変えるアプローチをするということです。
切り口は無数にあり、どんな切り口でもいいので、まずは一つのものに対して、いろんな切り口を試してください。
どんなものでも、いろんな切り口で見れるようになると、連動する形で企画力もずいぶん向上しているはずです。
企画力アップを目指して、がんばっていきましょう!
企画力の他、発想力、提案力に関する記事も書いておりますので、ご参考にどうぞ。