未経験でもマーケティング職や商品企画職を目指す人は、まずその違いを知ることから始めましょう。マーケティング職は全体をデザインする仕事、商品企画はどちらかというと商品を企画開発することです。
また、未経験であってもアピールをしっかりすることで、転職の成功確率はぐんと上がります。なんとなく企画職になりたいだけで転職するのではなく、自分が向いているのは、 商品企画職なのかマーケティング職なのかを把握し、アピールに活かしましょう。
商品企画職とは
商品企画とは、平たく言うと「商品化」をゴールとした、商品の設計や、開発プロセス全体を管理する仕事です。
商品を開発する過程において、一応の市場調査や売れている商品などを調べる必要があるため、マーケティングと混合しがちですが、目的が商品化なので、商品化してしまえば一連の仕事は完了となります。
ただし、日本においては、商品企画=マーケティングと勘違いしている会社が多く、商品が売れないのは商品企画のせいだとなるパターンもよく聞きます。
自分の考えた商品が世の中に出ると言う、花形な仕事のため、非常に競争率が高く人気の職種ではありますが、マーケティング的な要素を期待して商品企画に入ってしまうと、そのギャップに驚くことと思います。
というのも、商品企画部の仕事は先ほど言った通り「企画・開発」が主な仕事です。
マーケティング的な要素よりも、商品スペック、コスト管理、工場やOEMとの調整などが業務のほとんどを占め、 意外と自分の作りたい商品が作れないことが多いのです。
商品企画はどんな仕事?については下記の記事を読むとよく分かります。
マーケティング職とは
一方、マーケティング職はというと、本来の意味では市場調査〜販売まですべてを網羅する職種なのですが、日本においては、発売されたあとの商品をどのようにして売るのかばかりが求められています。
その中においての主な業務としては、コンセプトの設計、販促活動やクリエイティブの創造などです。
例えば、発売された商品をどのように見せるのか、どのようなキャッチコピーを付けるのか、 どのチャネルで販売するのかなどを決めていく業務になります。
マーケティング職になってくると、直接商品設計はできないことの方が多いです。
こういった市場において、このような商品を作るという大枠は考えるのですが、実際に商品スペックを決めるということまではしません。
商品づくりはあくまで商品企画です。
ただ、ここで商品と離れるわけではなく、その商品についての進捗確認であったり、途中の商品コンセプトからずれていないかなどのチェックをします。
商品発売までの間は、商品発売に向けてのプロモーション設計や、イベント設計、PR活動などに従事するわけです。
商品企画職とマーケティング職の違い
ここでもう一度、商品企画とマーケティングの違いをまとめていきます。
商品企画は、商品の設計を行い、商品化を担います。
マーケティングは、市場調査を行い、商品のコンセプト、販売活動のプランを立てます。
このように見てみると、まったく違う職種であることがお判りいただけると思います。
では、なぜこれを混合してしまうのか。
それを考えて見たいと思います。
商品企画職とマーケティング職を混合してしまう理由
商品を企画する際に、市場調査みたいなことをよくやります。
その手順としては、インターネットでの調査が主なものではないでしょうか。
例えば、A社の商品はこういった人に売れているとか、B社は当社の競合だみたいなのを調査するわけです。
A社はこのスペックでこの価格です。では、当社はスペックをちょっと上回って価格も少しリーズナブルなんて調査結果を見たことがないでしょうか。
あの行動を市場調査=マーケティングと勘違いしている人が多いのです。
よく日本の書籍やサイトで紹介されているマーケティング活動=売れる仕組みづくりだとすると、そもそも商品を比較して優位性を表すことは仕組みではありません。
A社よりスペックが優っていて価格が安い=売れる仕組みではないからです。
もともとマーケティングという言葉は日本にはありませんでした。
良いものを作れば売れる時代には、マーケティングは必要無かったからです。
そこで、何を作れば売れるのか、どうやったら売れるのかを考える必要がでてきた時代に、マーケティングの概念が一般化していきました。
その弊害として、マーケティングは「市場調査」「販促」にだけの概念として認識されてしまったのです。
つまり、商品を作る際に市場調査という項目が追加され、マーケティングと商品企画が混合されてしまったと推測されます。
また、マーケティングの業務は商品企画の業務範囲に被ることも多いので、勘違いされやすくなってしまいます。その結果、商品企画なのにマーケティングやれだとか、マーケティングなのに商品企画やれだなんてことを普通に言われるんですよね。
企画職のイメージ図:
商品企画からマーケティングへのキャリアパスが一般的
概念上では、先の図のようにマーケティングの方が上位に位置します。
というのは、その商品を作るにあたってのコンセプト、売り場設定、販促活動など「仕組み」として捉え、 仕組みをプロデュースする仕事がマーケティングだからです。
そのため、商品企画を経てマーケティングにというキャリアプランがあります。
逆に、マーケティングから商品企画というルートについては、問題なく行けるとは思いますが、 マーケティングの仕事をしてしまうと、商品企画では物足りない状態になってしまうため、 あまりこのキャリアパスの人は見かけたことがありません。
また、マーケティングをする上で、商品企画の知識があった方が良いに決まっているので、 商品企画を経てマーケティングというのは、理想的なルートではないかと思います。
商品企画に向いている人は?
○○力が必要という記事をよく見ますが、もちろんあった方がよりベターです。
例えば企画力、洞察力、アイデア力などです。
しかし、実際の現場を見てみると、それらの○○力は後から付いてくるのかなというのが本音。
では、どんな力が必要?と思われるかもしれませんが、○○力より性格じゃないかなと思います。
商品企画に向いている人の性格は、細かな仕事を大切にできる人です。
というのも、商品企画というのは企画をするだけが仕事じゃありません。
むしろ、企画は仕事のはじまりです。
その後に続く、商品スペックの決定だったり、工場との折衝、OEMとのやりとりの方が仕事量的に圧倒的に多いのです。
また、事務作業も思ったより多いと感じるはず。
商品化するにあたって、各種法律の理解、必要な書類も整理など、こまかな作業が必要になってくるのです。
これらが大雑把だと、それこそ商品化できなかったり、商品化したとしても、不良になったりして、 他のセクションに多大な迷惑をかけてしまうことになります。
商品というのは、いわば会社の顔です。
商品を責任をもって世に送り出すという使命が商品企画には求められるのです。
これって、○○力というよりも、責任感だったり性格かなと思うわけです。
マーケティングに向いている人は?
マーケティングに向いている人は、全体を見渡せる人です。
マーケティングはつまり企業そのものの戦略になるわけです。
良い商品を世に送り出すというよりも、この商品は会社にとってどこに位置づけで、 出す意味はあるのかを考えるのがマーケティングです。
商品の知識もそうですが、例えばロジスティックの知識や、営業の知識もあった方が良いです。
さらに上位概念の知識もあるとなおベターです。
先ほどもいいましたが、商品というのは会社の顔なのです。
会社にとってこの商品の戦略的意味を考えたり、販路だってブランドを傷つけないように考えなければなりません。
「売るための仕組み」と大雑把に解説している所が多々ありますが、本来の意味は「ブランドの価値を正しく伝えること」がマーケティングです。
このブランドを無視した売上だけの計画はマーケティングと言えません。
市場調査、ブランディング、企画、販促、ロジスティック、販路など、できるだけ多くの知識を持つようにしてください。
そういう意味では、マーケティングに向いている人は、新しいことが好きな人。
新しいことであれば、多少苦労してでも達成感を味わえる人がマーケティング職に向いていると思います。
未経験から商品企画職やマーケティング職に転職するのは難しい
ナンセンスではあるのですが、結構ひとくくりにしている転職サイト多いですよね。
企画職・マーケティング職への転職なんてキーワード結構あります。
しかし、両者の違いを理解しているあなたであれば、自分に向いている職種がわかるはず。
正直、未経験でいきなりこのポジションへの転職は難しいでしょう。
なんども言いますが、商品企画というのは花形なイメージがあり、競争率も以上に高いのです。
それでも、この狭き門を突破したい人のために職種別のアピールポイントをまとめました。
商品企画に転職するためにアピールできること
現在のキャリアによってアピールポイントが違ってきますので、それぞれの職種別にそれぞれ見ていきたいと思います。
営業職からの商品企画職へ
営業職の強みはなんでしょうか。
それは、豊富な顧客とのコミュニケーションです。
営業の強みというのは、販路に付随した商品を提案できることではないでしょうか。
顧客と直に触れることのできる営業にしかできない、顧客ニーズの把握は強い武器になります。
今までやっていた営業の提案、顧客ニーズをひとまとめにしたデータなどを用意すると好印象を持たれます。
自身で作った提案書なんかもかなりのアピールポイント。
それに営業といえば、かならずプレゼンの機会はあるはず。
その特技を活かし、自身をプレゼンしてはいかがでしょうか。
事務職から商品企画職へ
事務職から商品企画はさらに狭き門です。
しかし、事務といっても何か仕事の中で必要だと感じたものや、改善点を見出したことはないでしょうか。
商品企画とは、細かな気配りが必要な仕事です。
事務の仕事においても、細かな点は共通点があるはず。
自身の経験をもとに、商品企画で活かせる点をまとめると良いと思います。
あと、可能な限り定量的なものを書くようにしてください。
頑張り屋さんですとか、まじめですなどの定性的なものではなく、次のようなアピールすると、イメージがしやすく好印象を持たれます。
事務のペーパーレス化を目指して、○○のアイデアを出したところ、5%の削減に成功しました。 この時の企画、アイデアをまとめたものがこれです。
こんな感じにアピールすると良いと思います。
販売から商品企画職へ
販売というと接客がほとんど。
この経験は、商品企画で活かせます。
というのも、実際にお客様と接しているのですから、顧客ニーズを把握する場所に一番近いのです。
例えば、
○○の販売で予算の120%を達成しました
といったアピールより、
○○の顧客のニーズに対して、 このような施策、提案をしたところ、お客様に非常によろこばれ・・・
のように、顧客のニーズにフォーカスしたアピールが良いと思います。
その他、自分が販売をしていて欲しいと思った商品など、直に商品に接する職業ならではのアイデアはないでしょうか。
現場で働いていて、○○みたいな商品が必要と考えましたというアピールは好感が持てます。
マーケティング職に転職するためにアピールできること
次は、マーケティング職への転職です。少々商品企画とアピールポイントが違います。
営業職からのマーケティング職へ
マーケティング職においては、販売促進なんかの事例があると良いです。
営業の実績において、独自で考えた売り方や提案の仕方などは無いでしょうか。
もし、店頭などの営業をされているのであれば、マーチャンダイジング的なこともやられてたかもしれません。
その時の棚割りでの売上比較などの独自分析があると、市場調査の能力があると思われます。
市場調査と販売施策において、思いっきりアピールしてみてください。
その他、販売企画などの経験があると尚よしです。
事務職からマーケティング職へ
事務職からの転職であれば、アピールポイントはずばり協調性かなと思います。
マーケティング職って、かなり協調性というか調整能力が必要なのです。
というのも、各部署を横断的に統括する仕事ですので、ものを考えるだけでは成り立ちません。
事務職で社内調整・・・というと少し難しいかもしれませんが、こんな経験はないでしょうか。
例えば、社内イベントの企画。
これって、立派な企画なんですよね。調整もすんなりいかなかったりします。
経営計画などの事務局としての経験なんかがあると、印象は良いです。
事務だけではなく、社内の企画や運営もしていることをアピールするのが良いと思います。
販売からマーケティング職へ
販売というと店舗がほとんど。
店舗運営についての企画をアピールするようにしてください。
実はこれ、かなりマーケティング職とかぶっている仕事内容です。
店舗として限定されていますが、店舗の設計というかお店のイベントなどで、客足は変わりますよね?
自分が何を狙って、どのように店舗運営していたか、さらに、その効果までをアピールできると申し分ないです。
要はお店のPDCAをどうのように回していたかが興味があるわけです。
PDCAの回し方が非常に利にかなったものであり、実績もでているようであれば、必ず転職は成功します。
未経験から企画職へ転職するためには何故やりたいかが一番重要
各職業からのアピールポイントをお伝えしましたが、もう一つ重要なポイントがあります。
それは、何故企画職をやりたいのかということです。
漠然とかっこいいからとか、花形だからという理由で転職を考えているようでは、転職は成功しません。
より具体的な内容があり、その事に対してどれだけ情熱を持っているかがポイントです。
少しいやな言い方をしますが、何故この仕事をやりたいのか、自分の強み弱みを把握できないような企画職はいりません。
自分のことですら分析できない人に、市場の分析なんてできるわけがないからです。
まずは自分としっかり向き合って、本当のそれがしたい仕事なのか、これからどうしていきたいのか、 しっかりと考えて取り組めば、必ずチャンスは巡ってきます。
なんとなくのイメージだけで「企画職」を選択すると、きっと後悔します。
そして、自分のやりたいのは商品企画なのか、マーケティングなのか、特性と違いは必ず押さえるようにしてください。
転職、がんばってくださいね!
その他、企画職についてまとめた記事もありますので、ご参考いただければと思います。
もし、すでに転職を考えているのであれば、次の記事も参考にしてください。