ブランドマネージャー制度がもたらすメリット・デメリット|ブランドマネージャーになりたい人は必見です

マーケティング

ブランドマネージャー制度を取り入れるべきかどうか。 そもそも、ブランドマネージャー制度が分からない。 外資系などではよく見るブランドマネージャー制度についてのメリット・デメリットを解説します。 この制度を取り入れるべきかの判断材料としてご利用ください。

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ブランドマネージャー制度とは何か

ブランドマネジャー制度とは、簡単に言うと「ブランドの全責任を負う制度」のことです。

ブランドマネージャー制度で有名なのは、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)ではないでしょうか。 P&Gというと、どんな商品を扱っているのか思いつきませんが、ブランド名を見ればなるほどとご納得いただけると思います。

  • ファブリーズ(Febreze)
  • レノア(Lenoir)
  • アリエール(Ariel)
  • パンテーン(Pantene)
  • パンパース(Pampers)

誰もが聞いたことのあるブランドですよね。 そして、実は会社がP&Gだということを知らない人は意外と多いのです。

これは、P&Gの徹底したブランドマネージャー制度によるもので、ブランドを一つの会社レベルにまで見立てて戦略を立てているため、会社名はあまりでてこないのです。

ブランドマネージャー制度とは、このように、一つのブランドに対し、 責任を負うポジションを設け、新商品の開発から損益責任まですべてを任せることをいいます。

そして、そのブランドマネージャー制度のトップはもちろん、ブランドマネージャーであり、その役職は非常に責任のあるものとなります。

参考までに、ブランドマネージャーになりたい人のための記事を書いていますので、合わせて読んでいただけるとより知見が広がると思います。

このブランドマネージャー制度ですが、日本で有名なのはカップラーメンの日清です。 日清も1990年頃にブランドマネージャー制度を導入しました。

カップラーメンを超えるブランドを作ることをスローガンに、商品開発から販売計画至るまで、日々力を注いでいるとのことです。

ブランドマネージャー制度が導入されるようになった背景

このブランドマネージャー制度が出てきた背景としては、次の様なものがあげられます。

個別ブランドに対して責任者が存在しなかったため、責任の所在があいまいになっていた

はい、よくある擦り付け合いですね。よく見る光景じゃないでしょうか。

そうなんです、ブランドマネージャー制度が出てくる前はこのような組織が多かったため、 ブランドの何が悪いのか把握することも困難だったそうです。

これがブランドマネージャー制度によって、一貫してすべてのプロセスを管理するので、何が悪いかが把握できるようになります。

個別ブランドごとに販売、広報などの概念がなかったため、ブランド認知に失敗が多かった

ようは、営業の売りたい商品と、広告の販促したい商品によく食い違いが起こっていたため、 シナジー効果を生み出せず、結果、ブランドマネジメントに失敗していました。

ブランドマネージャー制度は、営業~広告すべてを見ますので、このズレが生じにくくなります。

個々ブランド間の指数が違っていた

ブランドによって、目的や効果測定などがすべて違っていたため、評価しにくいものがありました。 指数が違うため、商品ごとのタスクを調整することが困難になっていたのもあります。

ブランドマネージャー制度によりブランドが違っていても、同じ視点で見ることができるようになるため、 ブランドごとの販促の調整等ができるようになります。

会社の取り扱う品目、ブランドが少なければなんとかなっていたのですが、P&Gレベルの巨大組織になってしまうと、 それこそ、扱うものが多種多様のため、管理ができなくなってきたという背景もあります。

このように良いことづくめのように見える、このブランドマネージャー制度ですが、当然、良いことばかりではありません。 それでは、ブランドマネージャー制度のメリット、デメリットを一緒に考えて行きましょう。

ブランドマネージャー制度のメリット

ブランドマネージャー制度には、様々なメリットがあります。 ここでは、代表的なメリットをご紹介していきます。

ブランドを作る際のオペレーションがやりやすい

ブランドマネージャー制度を置かない場合、商品企画、営業、もしかしたら品質保証などの部署との連携でブランドの構築をしていきます。

そして、それぞれの部署の言い分がまったく違うものになります。 例えば、商品企画はブランドイメージを良くするために、パッケージだったりを良いものにしようと考えます。

ところが、営業としては、価格を安くできないと、他社対抗ができないため、価格を安くしろという意見が出ることが多いです。 そんな中、品質保証が根本的にこの商品を見直さなきゃ出せないよみたいになって、まずはオペレーション段階で右往左往してしまいます。

ブランドマネージャー制度だと、こんなことはまず起きません。 というのも、ブランドマネージャーが全責任を負うからです。

すべての権限はブランドマネージャーにあり、責任の擦り付け合いということが起こりにくいのです。 そのため、オペレーションという意味では、非常にやりやすいものになります。

ブランドイメージが統一しやすい

先ほどと少しかぶりますが、ブランドマネージャー制度とは、 ブランドマネージャーがすべての権限を持っているため、ブランドイメージが統一しやすいことです。

もちろん、ブランドマネージャーも一人の意見で決めるわけではありませんが、 トップの権限が明確に決められていることで、ブランドイメージとしては統一しやすくなります。

ブランドごとの収支が分かりやすい

ブランドマネージャー制度は、先ほど、損益に至るまですべての責任を負うといいました。 つまり、ブランドごとの収支が明確にわかるようになり、儲かっているブランド、そうじゃないブランドが明らかになります。

これは経営で感がると、非常にプラスに動きます。 ブランド戦略として、どこにお金をかけるべきか、それともブランドを終わらせて行くのかという判断が、経営目線で判断できるからです。

株主などのステークスホルダーにとっては、かなりのメリットがあるのではないでしょうか。

ブランドマネージャー制度のデメリット

メリットもあればデメリットもある。メリットデメリットは表裏一体なのです。 次は、デメリットの方面を見ていきましょう。

ブランドマネージャーの能力に左右されてしまう

当たり前のことですが、ブランドマネージャーの権限は絶大なもの。 このブランドマネージャーに、明日のブランドの命運をかけているといっても過言ではありません。

ブランドマネージャーになる為には、かなりの試練が待ち受けており、それこそ超エリートですが、 なんだかんだいっても一人の人間です。

やはり一人の決断に任せることで、ブランドがおかしくなったしまったということもあり得ます。

競争の理論がマイナスになることも

ブランドマネージャー制度は、いわばブランドごとの独立組織です。 普通であれば、会社一眼となって、新しいブランドを盛り上げようとなりますが、意外とブランドマネージャー制度ではそうなりません。

というのも、それぞれが独立した組織なので、同じ会社に見えて競合会社となり得るのです。 例えば、広告枠の買い付けだったり、メディアのPRだったりを、足の引っ張り合いが起こることがあります。

ブランドマネージャーに課せられた仕事は、自分の担当したブランドを最善のものにすることです。 このため、そう多くない組織リソースの奪い合いがはじまるのです。

例えば、ドラックストアの棚どりなどが筆頭です。

もともと、ドラックストアの棚スペースは限られています。どこのブランドも一番いい棚がほしい。 そして、同じ会社なのにブランドごとで取り合いが始まり、せっかくのブランドなのに安売り合戦になったりもします。

それぞれのブランドを競争させて強くしようとしているのすから、そういったことは起きて当然。 なので、出来る限り喧嘩しないようなブランド軸を整えていく必要があります。

組織の共有リソースがうまく活用できない

この共有リソースというのは、普通の組織を考えてみてください。

営業部があり、マーケティング部があり、品質保証がありと様々な組織があります。

その中で、第一営業部と第二営業部があったとしても、マーケティング部や品質保証部は、 第一営業部だろうと、第二営業部だろうと一緒に仕事しますよね?

これは機能性で組織を分け、それぞれの専門家が集まって、リソースを共有することで無駄を省いているのです。

マーケティング部という一組織だけで、会社のすべての営業部の販促をまかなうことが出来ます。

これが、ブランドマネージャー制度だとどうでしょうか。 ブランドマネージャー制度では、開発、生産、広告、営業などは、ブランドを売るためのコストという計算をします。

普通の組織であれば、開発コストとしてのってこないような、営業コスト、開発コストなどが商品原価としてオンされるわけです。 こうなると、商品原価が高くなってしまうのは明白だと思います。

さらに大きな組織だと、それぞれのブランドで営業や開発を抱えているので、リソースの共有は難しくやはりコスト高になってしまいます。

ブランドマネージャー制度に移行するための条件

ブランドマネージャー制度がでてきた背景のところでも触れましたが、 もともと、ブランドマネージャー制度が導入されたのは管理がしやすいからです。

組織が大きくなり、ブランドがたくさんになってくると、それこそ会社ですべて管理するのは難しくなってきました。 そこで、ブランドごとに責任者をおき、任せるようになったのです。

つまりは、少人数、少数ブランドの場合は無理してブランドマネージャー制度に移行することはありません。

そこで、ブランドマネージャー制度に移行した方が良いと思われる条件としては次の通り考えられます。

  • 取扱いブランドが50を超える
  • ブランドの知名度向上、イメージアップに力を入れたい
  • 社員に対し経営感覚を身に着けてもらいたい
  • 商品企画と営業とのコミュニケーションがうまくいっていない

上記条件の場合は、ブランドマネージャー制度はかなりの威力を発揮できると思います。

ブランドマネージャー制度は導入すべき?しないべき?(まとめ)

先ほども触れておりますが、条件が合えば導入すべてきというのが結論です。 ただし、いきなりP&Gや日清レベルは無理なので、おすすめとしてはハイブリッドタイプです。

ようは、力をいれたいブランドだけブランドマネージャー制度を導入する仕組みを組織に取り入れることです。

こうすると、社員教育にもなるし、コミュニケーションも豊かになってくることだと思います。

マーケティングに関わる人間としては、一人でも多くのブランドマネージャーを育て、世界で通用する人がたくさん増えるといいなと考えています。

なので、とりあえずハイブリッドで導入しましょう!
※大事なことなので2回言いました。