売上至上主義が会社を潰す|これからの会社はブランディングが必須条件

仕事

なぜ売上至上主義に走るのか

このようなブランド事例を持ち出すと、ほとんどの人が、そりゃそうだよねと言います。 オーガニックをケミカルに変えたらダメだろうと。

第三者的な立場から見ると、あほみたいな話に見えますが、当事者たちは死活問題なのです。 特に中小企業では、売上を上げろという一点張りの上司、役員はたくさんいます。

今月の予算が達成しなかったから、あそこで商品を安く販売してなんとか達成しようだとか、 本来のブランドにそぐわない販路へと手を伸ばしたりだとか、営業マンは必死です。

さらに悪いのが、売上を上げることが一番の評価軸になってしまっているため、社員の目的が売上を上げることになるのです。 いくら綺麗ごとをいったって、お金を稼いでくるやつが正義みたいな風潮、あなたの会社にもありませんか?

一番最初に繋がりますが、俺たちがごはんを食べさせてやっていると思っている営業マン、少なからずいます。 そして、そういう人はある程度の売上を取ってくるので、会社としても評価が高いとなれば、さらに助長して悪循環が生まれます。

自分の評価=売上となれば、売上至上主義になるのは当たり前です。

会社は組織といっても、動いているのは個人です。

この、個人を評価する軸が売上にあるかぎり、この売上至上主義からの脱却は難しいものかもしれません。

売上至上主義は会社を潰す

なぜこれほど、売上至上主義を脱却しろと伝えているのか。それは、売上至上主義は会社を潰すからです。 今のところ順調に売上も推移しているし、そんなことないとお思いの方もいらっしゃると思いますが、どこかで限界が来ます。

というのは、売上至上主義では人材が育たないからです。 人材は人財とも書くぐらい、人は企業にとっての宝であるべきなのです。

少し話は変わりますが、以前、ユニリーバのセミナー内容を拝見したとき、非常に感銘をうけました。 個人の生活の中に、会社というものがあるという考え方です。

仕事が中心ではなく、個人の生活スタイル、環境、様々なものの延長線上に仕事があるのです。 また、WAAという考え方も拝見しました。

「Work Anywhere, Anytime」 つまり、どこでも、いつでも働ける環境を推進するということです。 一種の働き方改革の中での運動らしいのですが、こういった動きは海外で活発だそうです。

話をもどしますが、売上ばかり見ていると、個々の特性が見えてきません。 売上を上げる社員かそうじゃないかという軸で判断してしまいます。

あるとき、がんばっている営業マンがいて、なかなか成績を上げられないでいました。 人としては、かなり優秀ですが、数字に関してはまだまだだったのです。

今月の報告をしたくないだとか、会議で発言したくないといった所謂鬱っぽい状態になっており、 原因を聞くと、周りからの売上プレッシャーによるものでした。

結局、退職を申し出ることになり、別の会社にいったそうですが、 そこではしっかりと芽が出て、かなりの成績を残すようになったそうです。

売上でしか判断できない売上至上主義は、良い人材を潰していきます。 良い人材が集まらない会社は、どんどん淘汰されていくのです。

このように、人材確保のため、会社自体もブランディングしていかなくてはいけない時代に売上ばかり見ていると、いつかは足元をすくわれてしまいかねません。

売上至上主義から脱却するには

売上至上主義から脱却するために、一番大切なことは、会社としてメッセージを出し続けることです。 会社が存在している意味、会社が社会に何をもたらして、私たちに何を返してくれるか、このようなメッセージを発信する必要があります。

よく、会社の企業理念とか代表メッセージというのを見ますが、ほとんどがお飾り状態です。 実際に稼働している企業はごく少数です。

大きなビジョンを掲げる企業ほど、具体策がありません。 会社として、売上の定義はこうです。利益はこう使います。会社のビジョンはこうですというメッセージを共有するプロセスがごそって抜けているのです。

このメッセージを噛み砕いて現場に伝えることこそが、唯一、売上至上主義からの脱却方法です。 しかし、メッセージを伝えていない企業の多いこと多いこと。

仮に伝えていたとしても、バクッとしすぎて伝わっていないというのが現状です。 まずは会社としての姿勢を見直し、メッセージを整理し、現場に伝える。 これを繰り替えすことで、会社のアイデンティティが鮮明になり、会社のブランドとなっていくのです。

このプロセスを見直さない限り、売上至上主義から脱却できず、結果、倒産という事態になるかもしれません。

売上至上主義を脱却した先にあるもの

売上至上主義でも、今儲かっているからいいやと思っていると、すぐに維持できなくなる時代が来ます。

先ほどいいましたが、これからは、個人が会社を選ぶ時代です。 そんな時代に個人の選ばれる会社作りをするためには、まず売上という概念を捨てなければいけません。

会社のブランディングこそが、今後、会社の存続に必要な概念なのです。 ブランディングに成功した会社には、優秀な社員、顧客満足度の高い製品、そしてファンが多数できる。

社員にももちろんファンになってもらう必要があります。会社が選ぶのではなく、会社が選ばれるのです。 そのためにも、まずは売上至上主義の脱却し、会社のブランド力を高めることが必要なのではないでしょうか。