商品企画の仕事内容が他WEBサイトでは漠然としすぎていたので、フェーズごとに行う現場の業務をまとめました。企画だけじゃない商品企画という仕事について理解が深まればと思います。化粧品の商品企画がベースになりますが、どのような商材でも考え方は一緒です。
商品企画の仕事内容
商品企画は企画だけが仕事ではありません。市場調査を行い情報を収集し、商品を企画、実際の商品を設計・開発、製造部門との調整、試験評価などたくさんの業務を抱えています。一例としては次のような業務があります。
- 企画立案業務
- 商品設計・開発業務
- 各種試験業務
- 書類作成業務
- 製造確認業務
それでは商品企画の主な業務をもう少し細かくみていきましょう。
企画立案業務
まずは商品企画の主要業務である企画立案業務から見ていきます。このフェーズを疎かにしてしまうと、後の修正が大変ですので、手を抜くことができません。企画立案フェーズには次のような業務があります。
- 市場調査
- 企画書作成
- 商品提案(社内プレゼン)
- 開発スケジュール決定
それでは、詳しく見ていきます。
市場調査と分析
マーケティングリサーチとも言います。市場調査を行い、企画する商品の市場可能性を探ります。既存商品の調査、市場カテゴリ調査、他社競合調査を行い、ヒットする商品を作るための情報収集をしていきます。展示会や店舗などに出向いて調査をすることも。
また、アンケート調査や消費者との座談会など直接的に情報を収集する場合もあります。このように、生きた情報を集めることは商品企画において非常に大切なお仕事です。会社によっては、マーケティング部門が一括して調査を行う場合もあります。
実際はこんな業務をします。
企画書作成
市場調査が終わると、企画書を作成していきます。企画書といっても商品コンセプトシートレベルなものから、本格的なものまで、会社によって違いますが、何を作るかが分かるものを作成していきます。
先ほど調べた市場調査のデータを企画書に入れることで、客観性があり説得力の高い企画書ができあがります。
商品提案(社内プレゼン)
企画書ができると早速社内プレゼンを行います。このプレゼン次第で折角考えた企画がボツになることも当然あります。出来るだけ入念に準備し、論理的な内容をで周りの人(特に役員)を説得していきます。
開発スケジュール決定
社内プレゼンに通ると、そこからスケジュールに落とし込んでいきます。商品にはリードタイムがあるため、すぐに商品化できるわけではありません。発売日を決め、そこから逆算してスケジュールを立てていきます。
開発スケジュール、デザインスケジュール、入稿データ、納品日など全てをここでスケジュール化しておきます。
以上が、企画立案フェーズです。ここまでで約2~3ヶ月がかかります。時間をかければ良いわけではありませんが、調査を丁寧に行うと時間がかかるんですよね。
商品設計・開発業務
続いては、商品設計業務です。企画立案フェーズで作成した商品コンセプトを具現化するための設計図を作り開発する仕事になります。この段階の仕事は次の通りです。
- 仕様・デザイン選定
- 調達先との交渉
- 商品名の検討
- 商標調査
- プロトタイプ作成
- 最終見積確定
それでは、それぞれ詳しく見ていきます。
仕様・デザイン選定
まさに商品のスペックを決めていく仕事です。商品コンセプトを満たすために、どのような機能を持たせるべきか、色はどうか、デザインなどの商品スペックを細かく決めていきます。
せっかく良いコンセプトが作れたのに、ここで商品として具体化できないのであれば、まったく意味がありません。可能な限りコンセプト通りに詰めていきます。
調達先との交渉
原料や生産工場など、仕入や委託する調達先を選定し、各種資材の見積などを交渉していきます。ここでうまく調整できないと思った通りの商品が出来ないと言っても過言ではありません。自社で作る場合は、製造部門との調整になります。
ファブレスの会社では社外との調整になることも多いので、慎重に進めていきます。この段階になってくると、調達先との電話だけで一日が終わる事なんてのもしばしあります。
商品名の検討
並行して名前を決めていきます。名前はたくさん考えます。商品名と販売名を決めていきます。商品名は一般的に認知されている名前、販売名は流通させるための名前になります。ネーミング一つで売り上げが倍以上変わるなんてことはザラですので、出来るだけコンセプトを体現した名前にしていきましょう。
商標調査
名前を決めるに当たり絶対に確認しておかなければならないのが商標です。商標を調査せずに商品を流通させてしまうと、どこかの商標に引っかかって最悪、その商品は撤退に追い込まれることもあります。
商標は簡単にネットから調べられますが、より詳しく調査したい場合は、弁理士に頼んで見解書を貰います。名前が決まったらすぐに商標を取るようにしましょう。
以上が、商品設計フェーズの業務です。商品を具現化するためにデザインやら名前やら機能を決めていく大切な仕事です。ここも2ヶ月~3ヶ月はかかってしまいます。
プロトタイプ作成
設計がある程度進むと、プロトタイプを作成していきます。リアルなサンプルを作り評価をするためです。プロトタイプは可能な限り製品版に近づけられ、運送テスト、ユーザーテスト、形状変化テストに利用します。
また、プロトタイプを販売することもあります。テストマーケティングをすることで、どの地域、どの年齢の人が買っていくのか判断するためです。
最終見積確定
プロトタイプで問題が無ければ製品版を作るために最終の見積を確定させます。ユーザーにできるだけ安価に販売できるよう、可能な限り安価に作ることを目指します。
世の中の情勢によって、原価が変わってきたりもするので、この見積一つでも責任重大な仕事であると言えるでしょう。
ここまでが、商品の設計・開発フェーズです。ここまでくれば、もう発売間近です。
各種試験業務
プロトタイプが完成次第、商品が通常使用に耐える事ができるのか評価をしていきます。主に品質保証が行う仕事ではありますが、商品企画内でやることも多い仕事です。この段階の業務は次の通りです。
- 品質試験手配
- モニター評価
詳細を見てきましょう。
品質試験手配
耐久テスト、形状変化テスト、輸送テスト、細菌テストなど様々な項目をテストしていきます。加速度試験の機器を使い、2ヶ月~3ヶ月かけて品質をテストしていきます。
ここで弾かれると再度商品設計からやり直しなんてこともあるぐらい、しっかりと品質をチェックしていきます。
モニター評価
モニター評価は、プロトタイプを使い実際に使ってもらうことで、何かトラブルが無いか評価する試験となります。例えば、お肌に付けてテストするパッチテストや、ユーザーに直接意見をいただいたりします。
モニター評価で受けた結果は、改善できるときは改善し、出来ない場合は次回に持ち越したりします。もちろん、トラブル系は改善していきましょう。
このように、出来上がったプロトタイプに対し厳しい試験を行うからこそ、良い品質の商品をお届けすることができるわけです。
書類作成業務
商品はもう完成していますが、商品企画にとっての鬼門、書類作成が残っています。販売するにあたり提出しないといけない法的な書類であったり、社内にノウハウとして残す社内書類など、様々な書類を作ります。最低でも次の書類は作ります。
- 商品仕様書作成
- 営業プレゼン資料作成
詳細はこんな感じです。
商品仕様書作成
商品仕様書と呼ばれる商品の設計全てを掲載している書類を作ります。成分であったり、容器のサイズであったり、輸送箱の入数であったりと、様々な規定を定めた書類です。
この書類がすべての商品情報の元になる情報ですので、間違いは許されません。今後、商品がお店に並んだり、WEBページに公開されるときも、この情報を元に利用します。
営業プレゼン資料作成
商品仕様書のような細かなものではなく、どちらかというとカタログ的なプレゼン資料を営業のために作ります。商品を一番知っているのは商品企画です。そのため、その商品の売りや、キャッチコピーなどを分かりやすくした資料を作ります。
出来るだけ万人が分かるような簡単なプレゼン資料を作ることがおすすめです。
この他にも作る書類はありますが、とりあえず商品仕様書だけは完璧に仕上げてください。以上が、資料作成業務になります。
製造確認業務
商品の量産に入り、最終チェックとして製造品を現場で確認します。主な立会は次の通りです。
- 印刷立会
- 生産立会
印刷立会
印刷立会はパッケージの印刷をチェックしに行く工程です。直接印刷会社に出向き、色チェックや印刷のズレを確認しにいきます。最終の品質チェックとなりますので、いつもより厳重にチェックしていきます。
生産立会
最終的に製造されるものをチェックします。固形なものであれば、カドの割れや傷が製造工程上につかないかなど厳しくチェックします。品質保証と一緒になっていく事が多いです。
以上が製造確認業務になります。これでひとまず商品企画の仕事が全て終わりました。この業務を一アイテムごとに行うわけです。
商品企画の仕事は企画だけじゃない
以上、商品企画のことをより理解できましたでしょうか。
想像以上に大変な仕事であることがお分かりいただけたと思います。
企画は主な仕事ではありますが、実際に企画をしているのは半分にも満たない時間です。あとはその他の業務に追われているのが現場の現状です。
しかし、商品を一から作り上げる仕事は大変ながらもやりがいのある仕事です。企画したものが、実際の商品になっていく喜びを知ると病みつきになりますよ!
商品企画プロセスについては、より詳しいまとめ記事がありますので、そちらもご確認下さい。
以上、商品企画の仕事内容でした!