商品企画におけるターゲット決定プロセスの進め方

マーケティング

商品企画を進めるにおいて、ターゲットの決定は重要です。このターゲットが曖昧だと商品企画もブレてしまうため、結果的に良い商品は作れません。機能だけで見るのではなく、ターゲットを選定することで「ちょうどいい商品」になることを目指します。今回はターゲットの決め方をお伝えしたいと思います。

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ターゲットを決めるまでに行う事

まずいきなりターゲットを決めることはまずやりません。適当にターゲットを決めたところで市場可能性であったり、実際の購買力があるのかなどの情報が無いと、ビジネスにならない可能性もあるからです。

ターゲットを決めるまでの流れは次の通りです。

  • 情報を取得する
  • 情報を分析する
  • セグメンテーションを行う
  • ペルソナを決定する(ターゲットを絞り込む)

このように、世の中の情報を取得し、分析した上で、ターゲットを決める必要があるのです。ビジネスを成功させるためにも、まずは情報の取得から入りましょう。

情報を取得する

ターゲットを決める時には、情報を取得するところから始まります。ターゲットを絞るために、情報があるとよりイメージしやすくなるからです。調査といっても難しいものではありませんので、どのような調査方法があるのか紹介していきます。

二次情報の取得

なぜ二次情報からだと思われた方もいると思いますが、一般的に統計データであったり、どこかの会社がまとめている情報のことを二次情報と言います。つまり、何かしらの加工がされた情報のことを二次情報と言うだけです。

この二次情報からご紹介するのは、単純に探すのが楽だからです。調査においてできるだけコストをかけないで済むのであればそれが一番良いのです。

二次情報には例えば平均年収や、地域別の進学率などの基本的な情報から、食事に使う金額などの解像度の高い情報も探すことで出てきます。

これらを活用したりかけ合わせたりして新しい情報にまとめていきます。

二次データを取得する先としておすすめなのが次の通りです。

  • 政府統計の総合窓口「e-stat」
  • 生活定点1992-2018|博報堂生活総研
  • SSJDA
  • 人口統計分布(デモグラフィックデータ)

政府統計は例えば国民調査の結果を掲載していたり、別途政府が行った調査結果がすべて掲載されています。まさに情報のお宝がたくさん眠っているところです。

詳しくは政府統計「e-stat 」はお宝の山|リサーチの方法と使い方を解説しますに掲載していますので、ご確認ください。

生活定点というサイトは博報堂が運営しているサイトになります。こちらは、1992年から様々なデータを定点観測しており、トレンドを把握するのに便利です。

SSJDAは東京大学が運営しおり、たくさんの情報が集まっています。データの寄稿も募集されていますので、東京大学以外で集めたデータも参照できるのが素敵です。

情報についての詳しくは下記を参照ください。

次に一次情報についてです。

一次情報を取得する

一次情報とは自社で取得した情報もしくは何も加工していない情報のことです。次のように情報を取得します。

  • アンケート調査
  • 街頭インタビュー
  • グループインタビュー
  • デプススインタビュー

一次情報を取得する意味は、二次情報で得られた仮説をより深く検証するために使います。例えば、東京の20代には○○が流行っているといった仮説が二次情報から得られたとしたら、それが本当に流行っているのか街頭インタビューなどで聞き取り調査をします。

そのように、一次情報と二次情報を行き来することでより仮説の精度を高めていく作業を行います。

このように、まずは情報をたくさん集めることが商品企画においては必要なことになります。この情報が不足もしくは間違っていると、商品企画の成否にかかわる事になりますので、ここは慎重に検証を重ねていきます。

情報を分析する

次のフェーズは情報を加工するフェーズになります。先ほど集めた情報をまとめて、意味のある情報に作り替えていきまます。

作り変える際、統計的な手法を用いることでより客観的に見ることができます。ここでは詳しく説明しませんが、次のような基本的な統計知識はあった方が必ず役に立ちますので、時間があれば調べてみてみることをおすすめします。

  • ヒストグラム
  • 標準偏差
  • 分布
  • クロス集計
  • 回帰分析

このような分析手法を使って分析を行うことで、顧客をどのように分ければよいのかが見えてきます。例えば、年齢、地域、属性、既婚・未婚などの分け方で、一番顧客が多く分けれるのはどれか?など検討するわけです。これをセグメンテーションと言います。

セグメンテーションをする

セグメンテーションは商品企画においても重要な概念です。多様化するニーズに答えるためには、セグメンテーションをしっかり行い、そこのターゲットにマッチした商品を企画しなければ生き残れないからです。

どのセグメントに向けた商品を企画すると一番利益が得られるのか、売上が伸びるのかと検討していきます。

分け方として、デモグラフィック変数やサイコグラフィック変数のように分ける場合もあれば、最近では行動変数といった行動に対してセグメントを分けることも多々あります。参考までにセグメンテーションの基本概念を一覧にしています。

  • ジオグラフィック変数(地理的変数)
  • デモグラフィック変数(人口統計分布)
  • サイコグラフィック変数(心理的変数)
  • 行動変数

「おむつとビール」の話は有名ですが、この商品を買った人はこの商品も良く買っているなんてデータは行動変数です。アマゾンのリコマンドですね!

さて、これらのセグメンテーションを行う事で、徐々に顧客プロフィールが明らかになっていきます。東京世田谷区に住んでいる男子学生○○人。月のお小遣いは○○円。友達と週一回以上カラオケに行く。といったプロフィールが充実していくわけです。

このように、セグメンテーションを行い、最終的にはペルソナまでを作り上げていきます。

ペルソナの決定(ターゲットの決定)

ペルソナとはターゲットとなる人物の個人プロフィールです。あくまで仮の人物を設定するだけですが、出来るだけ詳細に決めていきます。

これはターゲットを明確にすることで、関係者の意識を統一ができるからです。ペルソナを設定しておかないと、後でイメージが違ったなんてことになりかねません。

10代女子高生と漠然とターゲットを決めるより、18歳、高校3年生、一流大学を目指して受験勉強中。塾には週3日通っている・・・なんてプロフィールがあった方が分かりやすいですよね?

また、そのプロフィールを見て、頭のよくなるサプリとか作ったらどう?なんて発想もでてくるわけです。このペルソナの決定がターゲットの決定になるのです。

ターゲットの決定はペルソナまでとなります。これでターゲットは決まりました!

その他の調査方法(ソーシャルリスニング)

昨今、ソーシャルリスニングという手法が主流になってきています。口コミ調査やSNSのつぶやき調査などがそれに該当します。

口コミ調査

ネット上の口コミをテキストマイニングツールなどを使って分析します。ネガティブやポジティブに分類したり、良く使われるキーワードを抽出したりして、大体のトレンドを掴みます。個人でやるのは結構大変ですので、専門の業者に頼むことがあります。

SNS調査

一番分析しやすいのはTwitterです。YahooのTwitterトレンドは非常に使いやすいツールであり、今バズっているキーワードであったり、決められたハッシュタグのツイートをリアルタイムで見られたりします。SNSの分析はこれから主流になってくると思われる調査方法です。

Instagramのハッシュタグ調査なんかもやりますが、これも個人ではとても大変なので、専門業者に任せた方が早く正確です。

商品企画におけるターゲット決定の進め方まとめ

ターゲットの決め方はその他にもありますが、一番基本的な流れを紹介させていただきました。実際の商品コンセプトを決めるまではあと一歩です。ターゲットの決定は後々の商品コンセプト、商品開発にまで影響する大切なプロセスです。これらのプロセスを疎かにしていると「ちょどいい商品」は企画できません。

次は商品企画における自社のポジショニング決定についてです。こちらも合わせてご確認いただければと思います。

統計や分析は少し難しい所もありますが、覚えておいて損はありませんので、少しずつ覚えていってくださいね!

 

なお、商品企画プロセスについては「まとめ」があります。そちらで商品企画プロセスをほぼ網羅することができますので、合わせてご確認ください。