プレゼンテーションはいわば仕事の集大成。 決して失敗が許されないものです。 失敗しないことは当然ですが、その先の感動プレゼンを見据えたテクニックをご紹介します。
(1)人に伝えるための準備をする
プレゼンのキモといっていい準備。
この準備でプレゼンの8割が決まるといってもいいほど大事な作業です。
でも、この準備について勘違いしている人が多くいるのも事実です。
そもそも、準備とは何でしょうか。
ほとんどの人が、ついつい準備=資料と思ってしまっています。
この資料はあくまでおまけに過ぎません。
プレゼンの本来の目的を思い出してみてください。
プレゼン=プレゼンテーション=伝えることです。
資料とにらめっこしていても、伝えることはできるでしょうか。
資料では表現できない情報を伝えるからこそのプレゼンです。
資料で全部分かるのであれば、そもそもプレゼンなんて必要無いのです。
少し話は変わりますが、人における意思決定はどこで行うと思いますか?
論理的な解があれば意思決定すると思いますか?
たしかに論理的なロジックは必要でしょうが、論理的なだけでは人は動きません。
結局、人は感情で意思決定をするものです。この感情を動かすことこそがプレゼンの醍醐味なのです。
つまり、人の感情がどうやったら動くかを中心に考え用意することこそが良いプレゼンにする秘訣なのです。
それでは、この心を動かすプレゼンついて順を追って説明していきます。
(2)意識があなたに向くようにテキストに文字は書かない
あなたの前に文字がたくさん書かれた資料がドンと置かれました。
あなたならどうするでしょうか?
私ならついつい先を読んじゃいます。
そして意識はどこにあるでしょうか。
きっと、プレゼンしている人の言葉より、資料の方に意識がいってしまっていると思います。
自分が興味があるものほど、先を見たくなってしまうものです。
逆の立場で考えてみましょう。あなたがプレゼンテーションをする立場です。
プレゼン視聴者が資料とにらめっこしているのです。これではプレゼンがやりにくいですよね。
つまり、あなたのプレゼンに意識を向けて欲しいのであれば、 あなた以外に意識を向ける場所を作ってはいけないのです。
資料の準備をすればするほど、この事に気が付かないものです。
良い資料を作ろうと心がけるあまり、情報を詰め込みすぎているのです。
情報を詰め込めば詰め込むほど、あなたに意識は向いてくれないということです。
プレゼンは場の雰囲気作りも必要になってきます。
視聴者が資料にばかり目を向けている状態では、雰囲気も何も作れなくなってしまいます。
この雰囲気作りを行うため、あなたに意識を向けてもらうためにも、文字は見出し程度で十分なのです。
(3)飽きさせないためにできるだけ身振り手振りを大きくする
プレゼンが始まって、プレゼンターが全く動かなかったら退屈ですよね。
退屈ということは眠くなってしまい、相手に伝えるためのプレゼンが全く入ってこない状況になりかねません。
あなたは、視聴者を飽きさせてはいけないのです。
この見ていて飽きない状況を作り出すのに効果的なのは、まず自ら動くことです。
それもチマチマ動くのではなくて、できるだけ大きく動くことです。
大きく動くと、それを追いかけようとする視聴者が、目を動かし、首を動かします。
それによって、脳が活性化され、集中しやすくなるのです。
可能であれば、会場を目いっぱいつかって、右へ左へと体を動かしてください。
プレゼンテーション番組TEDなんてのを見ると、プレゼンターは移動量が多いですよね。
これはプレゼンターに意識を向けさせると同時に、飽きさせない工夫なのです。
もし、会場が狭くて目いっぱい動けない状況であれば、せめて手を動かすようにしてください。
あと、視聴者の視線を変えることも大切です。
「外を見てみましょう。○○が見えますよね。これも、こういうことなのです。」
こんなフレーズを使い、身近なものに置き換え、視線を変えさせることが飽きさせないために必要です。
さらに、身振り手振りを大きくすることで、人は理解が深まります。
言葉で伝わる情報量と、ジェスチャーで伝わる情報量は3:7ぐらいの割合で、 ジェスチャーの方が伝わります。
理解を深める意味でも、身振り手振りを大きくすることは良いプレゼンテーションにするために必要なのです。
(4)信頼されるために視聴者と目を合わせる
視聴者と目を合わせることで、視聴者との信頼関係が生まれます。
どこを見て話をしているかわからない人より、しっかりと目をみて話をしてくれる人の方が、信頼できるし、話をしっかり聞こうと思いますよね?
プレゼンでもそれと同じで、視聴者と視線を合わせることは重要なのです。
この時、問題になるのは”誰と目を合わせるか”ということではないでしょうか。
みんなの目をしっかり・・・と言いたい所ですが、2~3人に話を聞かせようという意識で臨みましょう。
複数に目線を合わせるのは、逆に言えばどっちつかずになる可能性があります。
みんなに分かりやすいを心がけるのではなく、個人に話かける感じを意識する方が、良い結果を招くことが多いです。
(5)あー、えーと言わないために一人にターゲットを絞る
普段、友達と話をするとき、あーとかえーとかってあまり使わないですよね。
でも人前で話をするときは、ついついあー、えーと言ってしまいがち。
これは”うまく話そう”と思うからこそ出てしまうものです。
ここで、問題なのがうまく話そうという意識を取り除くにはどうやればいいかです。
一つ、おすすめの方法としては、先ほどお伝えした通り、誰か一人をターゲットにすることです。
友達との話のときは、あーえー言わないですよね。
一人にターゲットを絞ることで、普段のあなたの話し方ができるのです。
そして何より、自然に話ができることにより、その場の雰囲気も良くなってくるのです。
もう一つ、あーえーを言わない効果としてあげられるのは、自信があるように見えることです。
視聴者にとって、あなたが自信があるかどうかは結構重要な要素です。
自信なさげにプレゼンするよりも、自信たっぷりでプレゼンしている方が、何か正解な気がしてくるのもたしかです。
プレゼン中、雰囲気が変わったと思う瞬間があれば大成功です。
あーえーを言わないことが、こんなにもプレゼンでは効果的に作用するのです。
(6)理解されるためにたとえ話・体験談を話す
体験談とかたとえ話というのは、視聴者に理解してもらうためには必ず行ってほしいことです。
話を聞いているだけでは、まだまだ視聴者はイメージを持てません。
イメージが分からないということは、それだけプレゼンが入っていかないということです。
よりイメージを伝えるためには何をすればよいか?
それには、体験談、たとえ話をすることがおすすめです。
特に体験談については、あなた自身が体験していることなので絶大な説得力があります。
細かなディティールについても話ができるため、視聴者はよりイメージをつかみやすくなります。
あなたは体験を聞かせるのではなく、視聴者に追体験してもらう気持ちで話をしましょう。
そもそも未来の事で体験談が無い場合もあります。
この場合は、どれだけうまいたとえ話ができるかがポイントになります。
私も例えばというのをよく使います。
というのは現場レベルまで物事を変換してあげないと、こちらのイメージが伝わらないからです。
例えば、このように売上増加が見込まれますというよりも、 この広告を見たお客さんは、友達にSNSを使って共有します。なので売り上げが上がりますの方がよりイメージできるのではないでしょうか。
例え話の説明に、例えばというとややこしくなった感がありますが、やっぱり例題が無いと何事も理解されないということです。
つまり、プレゼンでは視聴者が追体験したかのような例え話があると、良い結果になりやすいということです。
(7)参加者意識を高めるために視聴者を巻き込む
例えば、プレゼンが終わった最後に、必ずといって良いほど、何か質問はありませんかと言いますよね。
その時の光景を思い浮かべて貰えばわかると思いますが、そこで手を上げる人はほとんどいません。
これは、事前に視聴者を巻き込んでいなかったから起こる現象です。
では、視聴者を巻き込むとはどういうことでしょうか。
視聴者を巻き込むには、プレゼンの最中にちょくちょく質問したりすることが効果的です。
ここで、先ほどのターゲットを絞ることが生きてきます。
その場のターゲットを絞ることで、そのターゲットに対し、何かしらアクションがあるようなそぶりをしておくのです。
「それでは前の席の○○さん、前年一番印象にのこったブランドは何ですか?」
このような質問をタイミングよく入れるようにするのです。
ここで間違ってはいけないのが、必ず答えられる、答えやすい質問にすること。
難しい質問をしてしまうと、かえって相手を委縮させてしまいます。
~についてどう思われますか?なんて質問はダメです。
「どう思うのか」というのは、人が答えにくい質問だからです。
相手が答えやすいように誘導してあげることも、プレゼンターには必要なのです。
答えやすい質問というのは、想像しやすいもの、答えが一つの物がおすすめです。
「今日は寒いですが、何色のコートを着てきましたか?」
「――紺色です」
こんな質問であれば、すぐに答えられますよね?
そして、この回答に対して、プレゼンと絡めた話をするとなお良いです。
「紺色ですか。いい色ですね!マーケティングにおける紺色というのはベーシックな色で落ち着きがあり・・・」
みたいに拾ってあげると、あいてはあなたに巻き込まれます。気づけば参加者の一人になっているのです。
つまり、相手に応えられやすい質問を行い、拾ってあげることがプレゼンでの巻き込み方なのです。
(8)仲間になるためにここだけの内緒話をする
これもプレゼンとしては良いテクニックです。
プレゼン資料にも載せていない内容を、あくまで「こっそり」伝えるようにしてください。
内緒話というのは、共有を生みます。
そう、秘密の共有は、仲間意識を生むのです。
仲間にするというのは、良いプレゼンを行うにおいて、かなり有効な手段だという話はご理解の通りです。
そして、仲間になると何かしらの相槌を打ってくれたり、質問してくれたりと”場”を作ることに協力してくれるのです。
さらに、ここだけの内緒話をすることで、視聴者はお得感が増します。
お得な情報というのに、みんな弱いものです。
プレゼンが終わったあとも、なぜか満足感が残り、YESと言いやすい雰囲気になるのです。
このように、秘密の話をちょこっとしてあげるだけで、良いプレゼンになる可能性が高くなります。
良いプレゼンを行うために(まとめ)
最後に、良いプレゼンとは何かを考えていきたいと思います。
良いプレゼンとは、相手を感動させるプレゼンの事です。
別に涙を流すことが感動ではありません。感動とは”感化”されて”動く”ということです。
プレゼンで何人の人を動かせるかがプレゼンの良い悪いを決めているのです。
今回は、プレゼンのテクニックと共に、何故それが必要かについても書かせていただきました。
最後にもう一度おさらいをします。
- (1)人に伝えるための準備をする
- (2)意識があなたに向くようにテキストに文字は書かない
- (3)飽きさせないためにできるだけ身振り手振りを大きくする
- (4)信頼されるために視聴者と目を合わせる
- (5)あー、えーと言わないために一人にターゲットを絞る
- (6)理解されるためにたとえ話・体験談を話す
- (7)参加者意識を高めるために視聴者を巻き込む
- (8)仲間になるためにここだけの内緒話をする
このように人に伝えるだけではなく、人を動かすためのプレゼンを心がてください。
伝わるだけではプレゼンは成功とは言えません。
その先の感動をイメージすることが、良いプレゼンへの近道なのです。