CGMマーケティングは古い?ステマはあるの?@コスメに見るCGM型ビジネスの可能性とは

マーケティング

CGMマーケティングと言えば、2006年ごろ盛んに行われたマーケティングです。 ユーザー投稿型の口コミがそのままコンテンツになるというWEBサイトです。 CGM型で成功を収めた@コスメを例題にCGMマーケティングの可能性について考えていきます。

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CGM型ビジネスモデルで大成功を収めた@コスメとは

@コスメほど有名な化粧品比較サイトは無いと言えるぐらい大きな美容総合サイトです。

媒体情報として@コスメが公開しているデータによると、 そのPV数は月間3.1億PV。考えられないPV数です。

そして、ユニークユーザー数は1,500万人とのこと。

つまりは、一人当たり月に20ページも見ていることになるモンスターメディアです。

実際には、2割のヘビーユーザーがPVの8割を稼いでいる可能性もありますが、 どちらにしろ、3.1億PVというのはすごいですよね。

そんな@コスメのサイトを見てみるとわかるのですが、あまり知らないコスメも多く存在しています。

これは、莫大な費用がかかるマスメディアを使えない中小化粧品メーカーはこぞって、 @コスメという媒体を利用して販促を行うからです。

@コスメのようなサイトが無い時代、化粧品を販売するためにはイメージ戦略、つまりはマスを利用した販促が一般的でしたが、 その分、販促費もべらぼうに高く、資金力の無いメーカーはなかなかコスメ業界へ参入できませんでした。

これが@コスメの登場とともに、マスよりはるかに少ない販促費で化粧品の認知度を高めることができるようになりました。

そのため、メーカーも化粧品を販売したら@コスメに登録という流れがでてきたのです。

さらに、@コスメには会員に向けサンプリングをするというメニューもあります。 これは、@コスメ会員に対して、無償でサンプルを配り、その商品をレビューしてもらうというものです。

このレビューは、弱小化粧品会社にとっては貴重な意見であり、自社でマーケティングをできない会社においては、 貴重な意見が聞ける場所として今でも広く利用されています。

つまりは@コスメはメーカーとユーザーをコスメの口コミでつなぐための媒体であり、 広く公平性を保つことでその価値を高いものとしているのです。

このように、大手だけじゃなく、中小も入り乱れた本当に良い商品を紹介・比較してくれるサイトとして 君臨している@コスメですが、その中枢である本体は先ほどお伝えした通り、CGMが基本です。

CGMとは、Consumer Generated Mediaの略で、 要は消費者が書き込みしたコメントや口コミが主なコンテンツとなるメディアのことを言います。

ようは、メーカー、ユーザーともに情報元がないと、メディアとして成り立たないということです。

これは、CGMであるが故の強みであり弱点でもあります。

CGM型サイトである@コスメの弱点

先ほどお話しましたが、@コスメの基本コンテンツはユーザーの口コミです。

口コミこそ事業の生命線である@コスメは、特に厳格に口コミの質を管理しています。

そして、主たるコンテンツであるUGC(User Generated Content)に対しては厳しく、 いわゆる”ステマ”と呼ばれるものについては完全にNOという姿勢を貫いています。

このように、ステマに対して厳しく、コンテンツ=ユーザー本音であるとして評価されているからこそ、ここまで成長してきたのだと思います。

これはこれでマーケティングとしては全然OKなのですが、その口コミが本当にステマじゃないと言い切れるのかというと怪しいところなのです。

今でもよく@コスメ1位のステッカーを見かけますが、 果たして@コスメ1位は、どのぐらいの価値があるのか計り知れません。

商品を購入する際に、@コスメのサイトで比較する人は今でも多くいます。

年代的に20代~30代の人たちの利用が多く、約70%の人たちがこの属性ということです。

メディアとしては非常に優れたものであることには間違いありません。

ただし、この@コスメ1位のステッカーが自演できたとしたら、その価値はどうなるでしょうか。

繰り返しますが、CGM型はユーザーの口コミがコンテンツです。

つまり、@コスメがCGM型であるがために意図した口コミができる可能性が残されています。いわゆる”ステマ”ができてしまうのです。

CGM型のサイトではユーザーまで厳格に管理できない

ここがCGMのモデルとして弱い所でもあるのですが、ユーザーを特定するのは難しいものです。

というのも、ユーザーはニックネームを使い、個人が特定できない形で口コミを投稿しているのです。

一応、登録するときにそれぞれの属性については収集しておりますが、それが正しいかは誰もわからないのです。

元々、CGM型のコンテンツはユーザーが発信する口コミが全てです。 ようは、この口コミを多く集めないとコンテンツとしては成立しません。

個人が特定できる形での口コミなんて、誰もしたがらないですよね?

つまりは、匿名性を担保するかわりに、口コミを集めている状況なのです。

匿名性があるため、本音の口コミでも書ける側面はあると思いますが、その逆もしかりなのです。

結局、複数アカウントを使ってとか、サンプルや販促費という名目のお金をばらまくことにより、 ある程度@コスメの口コミをコントロールすることは可能なのです。

これが、CGMの弱点であり”ステマ”に繋がるのは想像に難しくない事だと思います。

そして、そこに目付けた業者が存在しているのも事実です。

@コスメの口コミ1位はある程度コントロールできる

@コスメの口コミは、ユーザーの善意によるものであり、それが故に本音です。

ところが@コスメ1位というのは、かなりの価値があると気づいた業者がいるのです。

@コスメの知らない所で、それこそサンプルをばら撒きお金を使うことで、ある程度の口コミが集まることになります。

そうすると、短期間で口コミが1位になることが可能です。

@コスメ1位のシールを見たことがありますでしょうか。 例えば、口コミランキング1位、期間2017年8月~9月みたいに書かれています。

この短期間のうちに、たくさん口コミを集めることで、簡単に1位は獲得できてしまいます。

費用に関してはそれなりにかかるとは思いますが、大手マスメディアに出すよりははるかに安価です。

そうすることで、ある意味プロ市民もといプロ@コスマーみたいな人が出てくるわけです。

そんな人が増えたメディアは、信ぴょう性に欠けてしまいます。 そして”ステマ”メディアとして見られてしまうと命とりです。

メーカーもコンテンツマーケティングを行っている

ここで一つ、CGMに取って変わりつつあるコンテンツマーケティングについてもお話しておかないといけません。

@コスメの成功もとい、ビジネスモデルは中小コスメメーカーにから支払われる販促費です。 メーカーとユーザーを繋ぐかけはしとして、長い間、その価値を提供してきました。

ところが、昨今、コンテンツマーケティングの手法が主流になりつつあります。

これは、メーカーが自ら情報を発信できる武器を持ったということです。

SNSしかり、コンテンツマーケティングしかり、メーカーがメーカーとして情報を発信できる場所が広がりました。

結果、外部を使わなくてもある程度の販促はできてしまうようになったのです。

これは、広告代理店や、このような大手総合情報サイトにおいても、脅威としか言いようがありません。

収益のほとんどを販促費という収入に頼っているビジネスモデルが単純に崩壊する可能性すらあるからです。

その販促費はSNSやGoogleにかける方が、コストパフォーマンスが良いと思われてしまっては元も子もありません。

このコンテンツマーケティングに打ち勝つためには、”口コミ”という一番の自社の強みを活かすしかありません。

@コスメが今後も信ぴょう性のあるメディアとして見られるために

@コスメがこれからも信ぴょう性のある公平明大なメディアとして見られるためには、 このCGM型だけのコンテンツから脱却しないと難しいと考えます。

若い世代においては、@コスメ離れも進んでいくと思います。

スマホネイテイブ、SNSネイティブの若い世代においては、SNSでつながった環境の中で完結してしまいます。

その状況の中、例えば、”ステマ”というデマがインフルエンスされることで、余計にCGM型メディア離れが進んでしまいます。

さらにSNSで拡散される情報は、悪い情報の方が圧倒的に多いという特性もあります。 SNSでは一つでも悪い話があると、すぐに広がってしまい、拡散され続けるのです。

口コミが最大のコンテンツであるからこそ、口コミが最大の弱点になる可能性もあるのです。

つまりは、CGMというコンテンツが公平明大であり、ステマ化しないように見張りをさらに強化していくしかない気がします。

これには、かなりの企業努力が必要であり、もしかしたら、メーカー離れも引き起こすかもしれません。

CGM型ビジネスはSNS時代にどのように可能性を見出すのか

このように、CGMはオワコンな感じがしますが、そもそもインターネットの使い方が違ってきているのです。

ただのマスメディアの変わりだったインターネットが、検索という機能を手に入れ、そして発見する場と変わっていきました。

CGMは、今までユーザーが情報を発信する場が無い時代の手法でありコンテンツです。

ユーザーが自由に自分の意見を発信できるようになった今、CGMという枠組みをより昇華させていく必要があります。

今では、ニュースはTwitterで探した方が早いですよね。

もちろん口コミについても、Twitterを検索した方が早いです。

CGM型は専門性、信ぴょう性、信頼性、透明性をどう表現するかが、生き残れるかどうかの瀬戸際なわけです。

今後、CGM型ビジネスは成長するでしょうか。

正直、その可能性は難しいと判断します。

Googleなどは、コンテンツとしての質、信ぴょう性をも評価するようになってきました。

匿名であり、あくまで個人の見解ですという”口コミコンテンツ”は信頼性という意味で、 Googleがどのように評価されていくかは未だ未知数です。

今後、Facebookなどのように、個人名を用いて、個人が特定できる形の口コミサイトというのもありかもしれません。

CGM型を今後活用していくのであれば、信頼性を担保出来るメディアを目指していくことで可能性は広がるのではないでしょうか。

以上、@コスメのこれからの活躍楽しみにしています!