ロジカルシンキング、演繹法、帰納法、聞いたことあるけどなんだか難しそう。 言葉だけ聞くと、確かに難しいですが、違いさえ分かってしまえばすぐに理解できます。 そんなロジカルシンキングの基礎である、演繹法と帰納法。これを簡単に説明していきます。
演繹法(えんえきほう)とは
演繹法(えんえきほう)とは、前提Aと前提Bから導き出される事実Cを説明することです。 これだけじゃ、全然意味がわかりませんよね。なので、例題を持って解説したいと思います。
あなたは今、お花見に来ています。そこで桜を見ました。そこで、友人がこう言います。
「サクラってバラ科なの知ってた?」
「まじで!サクラってバラっぽく無いよね。じゃあ、おれもマニアックなバラ科を一つ。ウメもバラ科だぜ?」
「まじかよ!じゃあ、サクラもウメも実は同じ親戚なんだな!一つ賢くなったぜ!」
これが、演繹法です。
つまり、サクラ=バラ科、ウメ=バラ科、なのでサクラとウメは同じ種類であるという結論を導き出すことができました。
もう少し別の例えとしてはこんな感じです。
A:ドラゴンボールとアラレちゃんの作者は同じ、B:アラレちゃんの作者は鳥山明、よって、C:ドラゴンボールの作者は鳥山明だ。
こういった、2次方程式ぽい推論法のことが、演繹法となるのです。
練習として、もうひとつ例題。
A:Canonのカメラは画質がいい。B:カメラの画質はレンズで決まる。つまり、C:Canonのカメラはレンズが良い。
これも立派な演繹法です。演繹法の特徴として、AとBが正しいのなら、必ずCが正しくなるということです。
この演繹法は、先ほど特徴でも言った通り、必ずCが正しくなるという特性を持ちます。
これを、ロジカルシンキングに置き換え、マーケティング的に考えるとこうなります。
A:若者の車離れが進んでいる。B:車離れの原因はお金がないからだ。つまり、C:若者はお金が無い。
AとBとの整合性が確実な場合、Cは正しくなります。 ただし、ここで注意点が一つ。演繹法は、間違ったAとBを前提とすると、結果が違うものになります。
この場合の問題点はどこでしょうか。
A:若者の車離れは進んでいるは、恐らく正しい情報です。購入者履歴を見たらわかりますよね。 B:車離れの原因はお金がないからだは、どうやらあやしいと思います。車離れ=お金という図式にエビデンスが見当たりません。 結果、C:若者はお金が無いとするのは、正しいかどうかわからないわけです。
結果が変わるというのは、こういう事例だと分かりやすいです。
A:若者の車離れが進んでいる、B:車離れの原因は車に魅力がないからだ、C:若者は車に興味がない
先ほどと全然違った答えになったことが分かると思います。 お金が無いと、そもそも興味が無いでは、全然意味が変わりますよね。
つまり、演繹法の弱点としては、前提を正しいものにしないと、正しくない答えが返ってくることです。 しかも、マーケティング的な分野になればなるほど、前提はあいまいになってきますので、前提の設定が難しくなるのです。 ここで、マーケティングの演繹法を一つ。
A:マーケティングにはデータが必要、B:データ取得にはお金がかかる、C:マーケティングにはお金がかかる
実際にかかるんですよねえ。お金。余談ですが、各種マーケティングバンク系の調査データなんて、ウン十万しますからね。 データは高いんですよ。ホント。
これが、演繹法のメリットとデメリットです。次に、帰納法を見ていきましょう。
帰納法(きのうほう)とは
帰納法(きのうほう)とは様々な仮説を元に推論を繰り広げる推論法です。
例えば、次のような推論法を帰納法といいます。
「植物であるサクラは枯れる。植物であるウメも枯れる。植物であるバラの枯れる。つまり、植物はすべて枯れる。」
すべての植物の枯れた状態を見たわけではありませんが、幾つかの現象を観測することで、結論を導き出します。
もちろん、この帰納法にもデメリットがあります。例題としてはこんな感じ。
「車であるプリウスはトヨタが作った。車であるノアはトヨタが作った。車であるレクサスもトヨタが作った。つまり、すべての車はトヨタが作っている。」
あれ、なんかおかしいですよね。日産どこ行ったって感じです。
そうなんです、事象として観測する対象がおかしいと、結果も違ったものになってしまいます。
一瞬そうなのかなと思わせる帰納法としては、こんな感じ。
「ハゲている斉藤さんはモテる。ハゲている部長の奥さんは綺麗だ。つまり、ハゲている人はモテる。」
これも立派な帰納法ですが、一瞬そうなのかなって思ってしまいますよね。 ハゲている人は、なぜか達観している人が多いので、それはそれでモテると思いますが、すべて真実じゃないですよね。
先ほどもいいましたが、帰納法は調査をする対象によって、結論が全然変わります。
どれだけ広く客観的に物事を見れるかが帰納法を扱う上での重要なポイントなのです。
ここで、マーケティング的な帰納法を一つ。
「マーケティングにおいてCSはユーザー目線が大事。マーケティングにおける価格設定はユーザーの価値観が大切。つまり、マーケティングはユーザーの視点を持つことが大切。」
なんか、正解ぽいのができましたが、様々な仮説、現象を集め、推論をしていくことが帰納法なのです。
それぞれの特徴と活用シーン
演繹法が最も活用できるのは、先ほどお伝えした通り、前提が正しいと確信できる場合は、抜群の効果をはっきします。まさに「こうかはばつぐんだ」状態です。
A:この会社の商品はクレームが多い。B:クレームは高年齢の人からが多い。C:この会社の商品は高年齢の人には向かない。
こう考えられると、演繹法ですし、AおよびBは、客観的事実に基づいているものですので、Cはおそらく正しいことだと思います。 次のプロセスとしては、なぜ高齢者にクレームが多いのか。文字が見にくいのではないのか。横文字が多すぎて意味がわからないのではないのか。など展開できます。
次に帰納法がもっとも効果的に働くのは次の様な場合です。
「高齢者の伊藤さんはシワを気にしている。高齢者の鈴木さんもシワが気になる。高齢者の田中さんもシワが・・・となると、高齢者は皆シワを気にしている。」
このような結果を導きだすことができます。もちろん、次のプロセスとしては、シワ専用のクリームの開発ですよね?
それぞれの利用シーンはこんな感じ。
商談
帰納法がおすすめ。○○会社も、○○さんも利用していますよ。
というのは鉄板。他社を持ち出すことで、自社も導入しなきゃと思う担当は多いです。
個人面談
演繹法がおすすめ。例えば、 目標は○○だったよね。○○をするには××が必要だよね。
つまり、目標を達成するためには、まず××しなくちゃいけないんじゃない?
このように説明することで、××に関してもやってくれる可能性があります。
相手にも癖があるので、その辺は臨機応変にお願いします。
でも、こう見ると、無意識のうちに結構、演繹法とか帰納法とか利用してますよね?
次にロジカルシンキングでの活用法を考えてみたいと思います。