商品企画の進め方の中で分析業務は重要な業務のひとつです。というのも分析ができないと正しいアウトプットが出来ないからです。外部環境、内部環境、競合調査、トレンド調査など様々な調査を行う事によってより市場にマッチした商品を企画することができます。今回は、商品企画の役割の中で特に分析にフォーカスしてみたいと思います。
外部環境分析
商品企画において外部環境分析をする理由は何でしょうか。商品企画の仕事はとてもスパンが長く、2年かかるプロジェクトも少なくありません。このように長いプロジェクトの場合、流行っているからと商品企画を進めてしまうと、商品が出来上がった頃にはすでに流行りは終わっているなんてこともあり得ます。
実際に商品需要は短くなっている傾向があり、半年、3ヶ月でリニューアルなんて商品もザラにあるのはご理解いただけるのではないでしょうか。
外部環境分析を行うと時代の流れが見えてきます。世の中の大きな動向を読むことで、次の商品はどんなものが来るのかを予測するために使います。例えばこんな分析を行います。
PEST分析
PEST分析とはPolitics(政治・法律的環境要因)、Economy(経済的環境要因)、Society(社会的環境要因)、Technology(技術的背景)に分けた分析方法です。PEST分析を行うことで、今後発生するであろう政治的な課題や、経済的な課題を発見できます。
PEST分析で発見した問題を、自社ならどのように商品で解決するかを企画することが大切です。PEST分析についてのより詳しい記事は下記をご確認下さい。
マクロ環境分析「PEST分析」がわずか5分で理解&使える人になる為の実例
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析とは、「売り手」「買い手」「競争企業間」「新規参入者」「代替品」の5つに分けて分析する手法です。これらの要因が業界の収益性を左右するため、5つの力が強ければ強いほど、自社業界の発言力が失われ、収益性がなく魅力のない業界であることを表します。
このモデルは業界としても使えますが、もちろん商品を中心に捉えて分析することもできます。その商品カテゴリを中心として捉え5つの力を比べて見ます。そこに競合が多いか、そのカテゴリの商品はたくさん出ているか等を見ることで、出そうと思っているカテゴリの収益性が見えてきます。
自社商品分析
商品企画において自社の武器は何かをはっきりと認識する必要があります。どんなジャンルが得意なのか、苦手なジャンルは何なのか。価格優位性のある商材は何かなどを分析します。
そこでよく使われるのがSWOT分析およびTOWS分析になります。
SWOT分析
SWOTとは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったものです。
これは、元々マーケティング戦略における環境分析のために使うものですが、もちろん商品カテゴリにおいても利用できます。自社商品の強み、弱み、機会、脅威それぞれ分析することで、市場機会や商品の販売機会を発見します。
TOWS分析
TOWS分析は、クロスSWOT分析とも呼ばれ、SWOT分析後の具体的な対策を考える時に使います。例えば以下のように考えます。
- SxO分析(強み最大化):積極的展開
- SxT分析(脅威に対処):差別化戦略
- WxO分析(弱点を補完):補完商品の販売
- WxT分析(弱みを最小化):終売
SWOT分析のあとTOWS分析を行うことで、商品の置かれている立場やブランドの方向性を考えることができます。全くの新規商品の場合は、他社をベンチマークすることで業界における穴を見つけるのにも役立ちます。
競合を知る
企画したいと思う商品の競合になりえるものを調査していきます。競合を分析する際によく使うのは3C分析となります。企業分析ではよく見かけますが、実際には商品でも使ったりします。
3C分析
3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)に分けた考え方です。自社を自社商品、競合を競合商品と置き換えると非常に分かりやすくまとめられます。商品軸では次のように考えて見ると良いでしょう。
- 自社商品:かわいいデザインで香りが甘い
- 顧客:大学生に憧れを持つ女子高生
- 他社商品:少し大人向けのデザインで香りはシンプル
3C分析を行う意味としては、この三者はについてはどんな状況であっても考慮しなければならないことを表しています。三者をMECEに分析することで、他社との差別化や効率化といった商品の方向性が見えてきます。
トレンド調査
時代の方向性を見る方法としてもう一つ、トレンド調査を行うことがあります。このトレンド調査をすることで”今何が起きているのか”を把握することができるため、PEST分析などよりももっと身近な流れを知る事ができます。
トレンド調査はすぐできる調査として主に二つです。
Googleトレンド
Googleトレンドはまさに今検索されている言葉、キーワードを知ることができます。トレンドと書いているだけあって、急上昇ワードであったり、何倍調べられているか等がわかる仕組みになっています。
ご飯と調べてみると「元気モリモリご飯パワー」といった関連するワードも調べることができますので、トレンドを見るにはかなり重宝します。また流行っている地域も分かるので、広告などを出す場合、どこの地域で出したら効率が良いかなんてのも判断できます。
Yahoo!リアルタイム検索~Twitter
YahooのTwitter検索はかなり使えるツールです。ほぼリアルタイムにTwitterのキーワードを拾ってきて知らせてくれます。このツールを使えば、バズワードであったりTwitterでのやり取りを拾うことができます。
最近では、ネガティブ発言やポジティブ発言といった感情も拾うようになりましたので、そのキーワードについてだいたいの世間の評価が分かるようになってきました。
ただ、ネガポジ判定に関してはまだベータ版ぐらいのレベルで、実際の感情として捉えていいかは疑問です。ネガポジの期間指定などもできますので、ネガティブワードはどんなものか見るのにもすぐに見られたりします。
競合調査にももってこいですので、是非使いこなせるようになってください。
最後に
今回は、商品企画において最低限の分析項目をお伝えしました。もちろん、もっとたくさんの調査方法もありますし、これだけでは不十分な場合もありますが、ファーストステップとしてはこれで十分だと考えます。
商品企画に正解はありません。ただ少しでも成功率を上げるために、感覚で商品を企画するのではなく、データを分析し、仮説を立てながらやるようなクセを付けておくと今後に活かすことができます。
その他、様々なフレームワークもありますので、今後こちらに追記していきたいと思います。
なお、商品企画プロセスについては「まとめ」があります。そちらで商品企画プロセスをほぼ網羅することができますので、合わせてご確認ください。