目標管理、人事制度など、数字で評価を行う企業はたくさんあると思います。 しかしビジネスの展開が早まりつつある今、評価を数字にする従来の評価制度では間に合わなくなって来ています。 失敗と影響力を評価軸に加えることで強い組織作りができるのです。
数字がすべての評価では時代についていけない
評価制度に数値目標を掲げている企業はたくさんあります。
売上的な単純に数値にできるものであれば、なんとか理解できなくもありませんが、 例えば、行動や会社理解なんかの定量的なものについても、1点~5点とか無理やり数字にしている会社って以外と多いと思います。
この数字に何の意味があるというのでしょうか。
あなたの行動評価は2点でした、次からは3~4点を目指して下さい。
こんなこと言う暇があるのであれば、点数を付ける前に即座にフィードバックした方が生産性は向上しますし、納得感もあります。
1ヶ月も放置しておいて、いまさらここが悪かったなんて言っても、時すでに遅しです。
つまり、数字を付けるということは、決められた時間に区切り点数を付けることですから、 一定期間の評価期間を設けなくてはいけないのです。
評価者(会社)は、点数を付ける前にもっと気づかせてあげるべきなのです。
しかし、数字にこだわる経営者はたくさんいます。
数字化することで、客観的な指数になるからとよく言われますが、その数字を決めているのは上司の主観です。
このような仕組みのもと動いていると、どんどん数字だけを追い求めることになり、 会社の本質を見失うことになりかねません。
時間の流れはどんどん早くなってきています。
急速な時代に対応するためには、数字的な評価をしていては間に合わないのです。
そもそも、ビジネスモデル自体が変容してきているのです。
これに対応するため、ノーレイティング評価や、Checkin方式などといった評価制度が近年見受けられるようになりました。
つまりは、数字しかみていない企業では時代に乗り遅れることは必至なのです。
ビジネスモデルの変革によりこれまでの評価が使いにくくなった
先ほどもちらっと触れましたが、ビジネスのあり方自体が変わってきています。
特にインターネット事業の界隈は、もろに影響を及ぼしています。
従来、IT企業といえば、独自パッケージの販売もしくは、受託がほとんどでした。
WEBにおいても、メインの仕事というのは制作であり、受注してWEBサイトを作る仕事が主な内容でした。
しかし近年、パッケージソフトの会社はほとんどがクラウド型に移行し、 その煽りをうけるかたちで、受託系のIT会社も、受託自体が難しくなってきたのです。
というのも、受託系のソフトウエアは非常に高価であり、それこそ何千万~億と桁が違います。
イニシャルで高額なコストを払う会社も少なく、ほとんどがクラウドなどのサービスで賄えるため、 受託の需要が減ってきたとも言えるでしょう。
また、WEBにおいては会社のマーケティングに非常に重要ということから、 WEBを作るだけではなく、上位のマーケティングやPRなどの部分にも踏み込んでいく必要がでてきました。
このように、ビジネス自体が変容してきているのです。
例えば、会社がクラウド型のサービスに以降したとしましょう。
この場合、営業の評価は顧客との契約数でしょうか?売上でしょうか?
もちろん、それらも大切だとは思いますが、クラウド型の場合もっとも大切なのは顧客に続けてもらうことです。
顧客に続けてもらわなくては売上が上がらないクラウドサービスですから、 この場合の評価は顧客に続けてもらえるような価値を提供できているかということになります。
このように、一時的な売上というのはさほど重視されなくなってきており、結果として評価制度としても従来のままでは 評価するのが難しくなってきたのです。
ビジネスモデル自体が変革しつつある今、時代に対応する評価制度が求められているのです。
巻き込み力・影響力を評価する
先ほどの例でいいますと、クラウドサービスの場合、営業マン一人でできる仕事もそれほどありません。
例えば、クライアントからの新しい機能の要件だったり、マーケティング的な相談だったりを、 解決するために会社全体で取り組んでいかなければ、顧客離れは進んでしまいます。
そうした場合、クラウドサービスの開発部署に相談したり、マーケティング的な話であれば、 戦略を一緒に考えたりなど、ほかの人を多く巻き込む必要がでてきます。
要は「巻き込む」というのを評価の最大のポイントとするとよいでしょう。
巻き込むというのは「影響を与えること」です。いわば「影響力」とも言えるでしょう。
ちなみに、マイクロソフト社ではこのことを「インパクトベースの評価」と表現しています。
売ればいい時代から、自社を巻き込み、あわよくば他社をも巻き込んで仕事に当たる必要がでてきました。
ビジネスが変わってきたため、売るだけでは顧客の問題解決ができないためです。
このように、自社、他社含め、どのように他の人を巻き込んで影響を与えたかを評価するようにすると、 組織も活性化し、仕事の幅も大きくなるのです。
このように、巻き込み力・影響力を評価することで、社内のコミュニケーションが活発化するのです。
さらに、失敗するという評価軸を見ていきましょう。
失敗を評価するという軸を持つこと
失敗は成功の元。当たり前の言葉ではありますが、意外と、失敗を評価しない企業は多いように見受けらえます。
もちろん、失敗”だけ”だと評価はされないのかもしれませんが、失敗で何を学んだかを評価することは大切です。
人は失敗するほど成長します。
成功ばかりしている人より、失敗を経験してきている人の方が深みがあり、素直に尊敬できる人が多いです。
この、失敗から学んだことを評価するということですが、 例えば、Aさんがチャレンジした結果、失敗したとしても、どのような行動をしたのか、何故失敗したのか、 次回からどのようなことを気を付けるのかを評価するようにします。
この評価軸を入れることによって、Aさんは失敗に対してもくじけないマインドを身に着けることができ、 さらに失敗しないためのノウハウまでもが社内に残るのです。
IoTやクラウド、さらにはAIなんてのもでてきて、世の中の動きは待ったなしです。
そんな中、どんなことにでもチャレンジできる社員の方が評価されるべきなのです。
失敗をオーサライズし、きちんと評価する軸を持つことが、これからの企業には求められるのではないでしょうか。
また、失敗を許容できる組織は、社員のマインドにも大きな影響を持つことが分かっています。
このように、失敗することはむしろ必然であり、そこから学んだことをしっかりとフィードバックできる仕組み作りが急務なのです。
失敗を評価することのメリット
従来の評価制度であれば、スタッフは失敗を隠そうとします。
失敗したにも関わらず、隠そうとしてよけいに失敗し、気づけば取り返しのつかない事態にもなりかねません。
所が、失敗から学ぶという軸を持つことによって、失敗を隠すことはまずなくなります。
何故なら、失敗しないとリカバリーを評価してもらえないからです。
さらに、失敗が表にでることで、全員でリカバリーしようとします。
というのも、失敗した人に対してのリカバリーについても「影響を与える」ことの評価軸があるからです。
これって、企業にとってもかなりのメリットだと思います。
失敗しても学びで評価され、失敗した人に対しても影響力で評価されるという軸を持つだけで、強い企業が作れるのです。
このように、たった2つの評価軸を設定するだけで計り知れないメリットがあるのです。
巻き込み力・失敗の評価は公平性にも寄与する
この2つの軸をもったとしても、評価は評価です。
こればかりは人間が行うしか、今の所ありません。
人が介在している限り、この公平性についての完全な担保は難しいと思います。
しかし、失敗軸の評価や巻き込み力の評価というのは、その評価のギャップは小さいのもになるのではないかと考えています。
というのも、人間だれしも失敗したくないからです。
他人の成功をうらやむ人がいたとしても、他人の失敗をうらやむ人はいません。
さらに、してしまった失敗という目に見えているものからのリカバリーなので、 何故あいつが評価されているか分からないといった事態も避けることができます。
さらに何度も言いますが、その失敗をリカバリーするということが評価されるのです。
これは、逆に言えば失敗した人に優しくした方が、自分がお得であるということになります。
誰が何をしてて、どんな仕事をしているかを分かれば分かるほど、公平性が増してきます。
このように、たった2つの評価軸を持つだけで、誰もが納得できる評価になるのです。
まとめ
これまでの内容を簡単に見ていきましょう。
- 従来の数値化する評価軸は、時代の流れについていけない
- ビジネスモデル自体が変わってきている
- 巻き込み力・影響力を評価することで社内のコミュニケーションが活発化
- 失敗軸を評価することで失敗がオープン化する
- 2つの評価軸は公平性をも担保する
- 強い組織作りを行うには皆が納得する評価軸を共有すること
早急な時代に変化に対応すべく、強い組織作りが急務になってきています。
強い組織作りの基本は、誰のどこを評価するかで決まってきます。
このように、評価を数値化せずに、失敗から学んだこと、どれだけ影響を与えたかを評価することは、 社員のモチベーションにも寄与し、強い組織作りには大切な概念になってきます。
以上、これらの評価軸を取り入れてみてはいかがでしょうか。