デジタルマーケティングとは、読んで字のごとく、デジタルを中心としたマーケティングのことですが、 WEBマーケティングと混同されるかたも多いと思いますので、今一度、デジタルマーケティングをおさらいしてみましょう。
デジタルマーケティングとは
従来のデジタルを中心としたマーケティング活動では、もっぱらインターネットが中心のマーケティング活動でした。
メール、デジタル広告、モバイルアプリなどを通じて、お客様とのエンゲージメントを高めていくというものです。
それが、近年のテクノロジの進化によって、インターネットを中心としたマーケティングの枠に囚われなくなってきています。
パソコンを使ってインターネットをしていた時代はとうの昔に過ぎ去り、今ではほぼ全員がスマホを持ち、常にネットに繋がっている状態です。
そんなスマホだけには留まらず、Apple Watchなどのウェアラブル端末なんかも、当然ネットにつながっています。
今では、スマート家電なんてのも登場してきました。
これらをすべて総合的に考え、さらに得られたビッグデータを分析することで、さらなる顧客満足につなげるというのが、 デジタルマーケティングの根本的な考え方です。
スマート家電を例題に考えてみましょう。
冷蔵庫なんて最近ではスマート家電化してきています。
冷蔵庫の中をお知らせしてくれるなんてのは序の口であり、それらをもっと踏み込んで考えるのがデジタルマーケティングの領域です。
地域によって、入っている具材が違うかもしれませんし、開け閉めの時間帯も違うかもしれません。
それらのビッグデータを使えばどんなことができるでしょうか。
もしかしたら、その地域にあった料理を、中の具材で考えてくれるかもしれませんし、 通勤中のスーパーで足りない具材の特価品を教えてくれるなんてことも可能なのです。
このように、デジタル技術、インターネット、ビッグデータといったIoTをフルに活用して顧客満足を目指すものがデジタルマーケティングなのです。
デジタルマーケティングとWEBマーケティングの違い
そこで、WEBマーケティングとの違いを見てみましょう。
WEBマーケティングは、あくまでWEBという閉じた世界でしか通用しません。
リスティング広告を思い浮かべてみましょう。
リスティング広告は、WEB検索者の履歴や趣味嗜好を分析し、顧客のニーズにあった広告を出すという手法です。
この場合、あくまで「検索」や「見ているWEBサイト」での情報しか蓄積できないのはお分かりだと思います。
その中において、外に出ている時間帯や、どんな生活をしているかなんかは分からないわけです。
しかし、デジタルマーケティングの領域で考えるとどうでしょうか。
先ほどお話した冷蔵庫はリアルなものです。
その冷蔵庫の開け閉めや、周りの温度、照度などが分かると、ぐっと顧客の行動が分かってきます。
この人は、ビールが好きだというものわかるだろうし、家にいる時間といない時間もわかります。
もし、冷蔵庫がビールが切れたことが検知できたとしたら、 ビールがありませんとお知らせすることもできるのです。
この場合、常にビールが入っているほどビールが大好きな顧客ですから、すぐさま購買行動に移ることが見込まれます。
WEBだけの世界ではあり得なかったことです。
つまり、WEBマーケティングとデジタルマーケティングの違いは、 WEBマーケティングがWEBアクセス履歴を中心に考えたマーケティング活動のことであり、 一方、デジタルマーケティングはWEBのアクセス履歴はもちろんのこと、様々なデジタルデータを扱うマーケティング手法のことです。
デジタルマーケティングを支えるIoT
これらのデジタルマーケティングが普及してきた理由としては、あらゆる機器がインターネットに繋がるようになったことがあげられます。
IoT(Internet of Things)という言葉を聞いたことがあると思います。
IoTとは、ありとあらゆる機器に取り付けられたデータが、インターネットを通じて蓄積されるシステムのことをいいます。
先ほどの冷蔵庫の例もIoTです。
従来では考えられなかった冷蔵庫という白物家電がインターネットに繋がった例です。
その他、電気、エアコン、自動車なんて個人使用のものはもちろんのこと、エレベーター、自動ドア、トイレのドアなんかの業務機器においてもセンサーが取り付けられ、IoT機器として動いています。
この、IoTの技術によって、ありとあらゆる機器がインターネットに繋がるようになりました。
インターネットのインフラの普及と、ネットへつながる機器の多様化なしでデジタルマーケティングは語れません。
つまりは、IoT技術の進化により、デジタルマーケティングが可能になったと言っても過言ではないのです。
デジタルはすでにスクリーンを飛び出している
WEB技術の中心は、やはりスクリーンでした。
すべてはスクリーンの中で完結し、それがすべてでした。
しかし、IoTの進化によりあらゆるデータがつながるようになりました。
例えば、博報堂アイスタジオが提供する「TREK TRACK」はご存じでしょうか。
これは、専用のIoTデバイスを持ったユーザーのログを取得し、山の中のどこに誰がいるのかを、 集中管理することで遭難を未然に防ぐというサービスです。
サービスとしては山の遭難対策となっていますが、エンターテイメントでも活用できそうです。
ユーザー同士で、どこに集合なんてコミュニケーションもできるでしょうし、 自分が山登りをした総距離なんてのも競ったりできると思います。
これは、マーケティング的に考えると、山で遭難するという問題に対し、デジタル機器とIoTを活用して解決した例です。
つまり、デジタルはIoTによりスクリーンを飛び出し、 スクリーンの中だけでの問題解決よりはるかに優れたソリューションを提供できるということです。
WEBだけではリアルな体験を作れない
WEBだけでのエクスペリエンスは、どこまで満足できるでしょうか。
映画を見て楽しかった、動画を見て楽しかったという”映像体験”は確かにできるでしょうが、 山の例のように”体で体験”することはできません。
これは、広告でも同じです。
Google Playというサービスをご存じでしょうか。
3500万曲が聞けるというあのサービスです。
Google Playは3500万曲が聞けるという体験そのものを、リアルでも行ったプロモーションが話題になりました。
これぞまさしく、ネットとリアルの融合です。
13000個のイヤホンジャックからすべて違う曲が流れ、Google Playは、こういう楽しみ方なんだよというのをリアルで作った広告表現です。
WEBを飛び出したデジタルマーケティング的発想だからこそ、できた広告表現だと思います。
このように、WEBマーケティングだけでは不可能なことを可能にするのがデジタルマーケティングの醍醐味ですよね。
これからのデジタルマーケティング
これからのデジタルマーケティングの需要は増える一方です。
というのも、IoTによって、様々なデータが取れるようになったからです。
データだけ取っていて、いまだ活用法が分からないデータなんて腐るほどあります。
エアコンのオンオフの状態、地域別エアコンの温度データなんて、何かに使えそうですよね。
デジタルマーケティングの分野はまだまだ開拓余地があり、それこそ、無限に広がっていきます。
使いたいときだけ使うネット環境から、常にネットに接続している状態へ移行し、 さらには、身の回りのものすべてがネットに繋がる時代です。
この膨大なデータを活用するマーケティングが、これからもっと注目されていくことだと思います。
それにともない、デジタルマーケティングができる人材も不足しています。
この”超売手”状態のデジタルマーケターを目指すのも悪くないのではないでしょうか。
ちなみに、デジタルマーケターが不足しているという記事も書いておりますので、そちらも読んでみてください。
https://damema.net/article/90/
以上、デジタルマーケティングのメリットはリアルな体験でした!