ソフトバンクのウーバー社株15%取得に見る日本の自動運転技術の遅れとは

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ソフトバンクは、米配車サービス大手のウーバー社に多額の出資を行うそうです。 これには明確な理由が見て取れます。 それはウーバー社が持つ自動運転技術の取得です。 今回の出資が持つ意味を日本の自動運転技術が発展しない理由とともに解説します。

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ウーバー社(UBER)ってどんな会社?

ウーバー社のロゴマーク ウーバー社ロゴ

まずはウーバー社(UBER)の説明から。

今回ソフトバンクが出資することになったウーバー社(UBER)は、2009年3月に設立しました。

日本ではぜんぜん馴染みの無い”配車”というシステムを構築している会社になります。

日本で配車というと、基本的にタクシーが一般的ですが、ウーバー社は一般人と顧客とを繋ぐシステムを構築しています。

どういうことかというと、一般の人が空いている時間に、個人の車を使ってタクシーもどきができるのです。

もう少し具体例を入れて説明してみましょう。

たとえば、あなたが暇な時間ができたとします。

そこで、あなたはウーバーに登録し、10時~16時まで空いてるよ!という情報を入力します。

それを見た近所の人が、ウーバー社を通じてあなたに連絡。

連絡を受けたあなたは、その近所の人をピックアップし、どこか目的に連れて行くという流れです。

そのすべての仲介役をやっているのが、ウーバー社なのです。

日本でも最近よく見かけるようになった、akippaみたいなサービスのタクシー版です。

このシステムを見てみると、まず、あなたは暇な時間を使い、タクシーもどきをすることでお金に変えることができます。

近所の人は、タクシーよりも安くすばやく車が手配できるということで、WIN-WINな関係を構築しています。

もちろん、タクシー業界からかなりのパッシングを受けていますが、利用者は満足しているため、アメリカでは割とメジャーなシステムです。

ちなみに、2013年9月に日本でも法人化し、2014年8月より東京内でトライアルが行われたそうなのですが、2015年3月にサービスを終了しました。

サービス終了の背景には、国土交通省から「自家用車による運送サービスは白タク行為に当たる」とのお達しがでたためであり、 がっちがちに守られているタクシー業界からの要請があったことは、安易に想像できます。

そんなウーバー社ですが、なぜソフトバンクが株を大量購入するのでしょうか。

ーーそれは、ウーバー社が高度な自動運転技術を持っているからに他なりません。

なぜソフトバンクがウーバー社の株を大量購入したのか

Softbank × UBER ウーバー社ロゴ

配車サービスを行っているウーバー社は、かなり高水準の自動運転技術を持っています。

2018年から、自動運転の車による配車サービスをテストではなく、実運用をはじめるレベルです。

スマホで今の位置情報を送信して配車を頼むと、無人の車が迎えにくるのです!

まさに「ナイトライダー」。

「キット、今すぐ迎えに来てくれ!」という声が聞こえそうですね。懐かしい。

話が少しそれましたが、つまりは、そのレベルの技術を持っているのです。

ソフトバンクは株の大量購入により、ウーバー社の経営に対し口を出せるようになったわけです。

これって、自動運転技術をソフトバンクが持つということになります。

この意味がお分かりだと思います。

ソフトバンクは最先端の自動運転技術を手に入れ、次なるサービスを検討しているのです。

そしてもう一つ、ウーバー社は現在、世界77か国の616都市でサービスを展開しているとのこと。

ウーバー=ソフトバンクの自動運転技術が世界でも活躍することは目に見えていますが、 大事なことがもう一つあります。

それは、世界規模でのビッグデータが自由に取得できるということです。

自動運転技術が取得するログというかビッグデータは非常に面白いものがあります。

何キロ走っているとか、どこに行くというのはもちろんのこと、もう少し視野を広げてみると、 乗っている人個人のバイタルデータだって取れちゃいます。

心拍数とか、話す言葉、体重何キロの人が何%乗ったかなど一瞬で取ることができるでしょう。

通信会社というインフラではどうしても、そのようなバイタルデータを取ることはできません。

それが、ウーバーの配車というインフラを活用することで、いとも簡単に取ることができるのです。

通信インフラと移動インフラを両方持つことで、可能性は無限大だと思いませんか?

これがソフトバンクがウーバーの株を大量取得する理由になります。

ではなぜ、日本の自動運転技術には出資しないのでしょうか。

それは、日本の自動運転技術は数十年遅れているからです。

自動運転技術の鍵を握るのは人工知能

ウーバー社ロゴ

自動運転技術が発展したのは、ここ最近だとは思いませんか?

それまでは、映画の中でしか無かったことが、急に、しかも実用的なレベルで発展しつつあります。

急発展の理由は、まさしく”人工知能”にあります。

人工知能についての説明は長くなるので、ここでは省きますが、簡単にいうと、今までの人工知能の考え方ではない、新しいアプローチによって、人工知能は急激に発展しました。

このサイトでもちょっとだけ触れたことがありますが、機械学習やディープラーニングと呼ばれる技術です。

従来の人工知能は、現象や仕組みを人間が分析し、プログラムに置き換えるという作業をしていました。

これでは、取りこぼしもありますし、まさしく何千、何万通りとあるイレギュラーに対応するのは至難の業です。

ところが、新しいアプローチであるディープラーニングを使うことで、プログラムが勝手に特徴を見つけ出すことが可能になりました。

これは、何千、何万通りあるサンプルを”学習”することで、その場面ではこう動くといったプログラミングを自動で行うことが可能になったのです。

何万通りのパターンを人がゼロから分析する必要が無くなったわけです。

また、コンピューターの処理速度の向上により、この何万通りのシュミレーションが、現実的な時間で出来るようになりました。

つまり、人工知能によって自動運転技術は急速に発展し、実用レベルまで持っていくことができたのです。

そしてそれが、日本の自動運転技術の遅れる理由につながっていくのです。

日本は保守的で規制だらけ

人工知能の学習には、数万通り、もっとすると数億通りのパターンが必要です。

では、自動運転をするにあたってのシュミレーションデータというのは、どんなものでしょうか。

それは簡単ですよね。

人工知能の学習に必要なデータは自動運転による実測データです。

このデータを使い、危険回避するパターンや、自転車のこけるパターン。杖をもって歩いている人のパターンと、様々な学習を行うのです。

ある程度はシュミレーションで出来ると思いますが、何より”経験”をつませる事が一番大事なのです。

実際の経験を行うということは、自動運転車両を公道で走らせることに他なりません。

想像してみて下さい。

日本で公道で自動運転技術の実測データを取りたいと思っても、だれがYESと言ってくれるでしょうか。

やれ事故が起きたらどうするんだとか、やれ自動運転車両が暴走したらどうするのかとかの野次で消え入りそうでしょう?

日本はかなり保守的です。

先進的な実験はぜんぜんさせてもらえません。

ウーバー社が日本法人のサービスをやめざるを得なかった理由も、保守的だからです。

業界からのクレームが怖かったのです。

このように、保守的であり規制だらけの日本では、公道でのデータが取れません。

つまり、人工知能にとって一番大切なデータが取れないのです。

そんなの開発が進むわけがありませんよね。

正直、日本の自動運転技術は数十年遅れていると言われています。

少し前にトヨタが行った実験内容は次の通りです。

県産業振興課によると、実験はコンピューターによる自動運転車で、幸田町民会館周辺の1周約700メートルのコースを事前にプログラミングし、時速15キロ以下で周回する。高精度3Dマップで現在位置を認識しつつ、半径約100メートル以内にある物体をレーザーで検知できるセンサーにより、人や障害物などを避けながら走行する。カメラで信号や横断歩道も認識できる。衝突などの危険性がある時は、町民会館内に設ける「運転席」で遠隔操作して停止させる。

出展:毎日新聞2017年12月6日 07時30分(最終更新 12月6日 07時30分

これを見て、どう思われますか?

愛知県の知事も自動運転の車に乗り込んでやっていたニュースです。

え、15キロ・・・。

700メートル?

実用的じゃなさすぎますよね。

ウーバー社はというと、2018年から自動運転配車サービスを開始する予定です。

この違い、大きいと思いませんか?

世界の孫正義が日本の自動運転技術に投資しない理由がお分かりかと思います。

特に、こういった分野での人工知能技術は、遅れているとしか言いようがありません。

技術大国日本はもう終わるのかもしれません。

今後も技術大国であるために何が必要なのか

まずは政治から見直す必要があります。

というのも、政治家は○○団体に弱いのです。

医師会だったり、タクシー業界だったり、原発なんかもそうですよね。

投票数と利権をちらつかせるとすぐに折れてしまいます。

タクシー業界なんか、自動運転により、我々の仕事が無くなるなんて言っていると、気づけばタクシー業界だけじゃなく、日本が終わっているかもしれません。

もう少し、日本は危機感を持つべきです。

いつまでも、技術大国だったことに胡坐をかいていてはいけないと思うのです。

正直、人工知能の分野では、日本はチャレンジャーです。

チャレンジャーであることを、そろそろ自覚しないと間に合いません。

世界は人工知能と仮想通貨によって確実に変わります。

これからも技術大国と言われる国にするには、まずは様々な規制緩和を行うべきだと考えます。

いつもソフトバンクはすごいところに目をつけますよね。

日本が誇る”孫正義”さんには、これからもイノベーションを続けてほしいと思っています。

以上、ソフトバンクがウーバー社に出資した理由でした!