広告の世界では往々にして予算という問題が付きまといます。 大手のような潤沢な予算があれば如何様にもできますが、小さな企業ではそれほど予算がでません。 今回は、低予算の中小でも広告で勝つことのできる広告戦略を紹介します。
(1)キャッチコピーの情報を尖らす
情報を尖らすことは必須条件です。
まずは、この情報を尖らすことを優先させてください。
汎用的なワードでバジェット(予算)の十分にある広告に勝とうなんてまず無理だと心得てください。
それでは、尖った情報というのは、どういうものなのかを考えていきたいと思います。
情報の尖らし方は、SEOで言うロングテール的な発想と似ていますが、そこに想像が出来ないキーワードを含めることをがポイントです。
その前に、まず簡単にロングテールのお話からしていきます。
ロングテールとは「長いしっぽ」を意味します。
売れ筋の2割の商品よりも、売れない8割の商品を総合計した方が売上が上回るというものです。
実在する店舗では、売場面積が限られていたため、いわゆる売れ筋の商品を並べる必要がありましたが、 物理的制限のないインターネット販売においては、ニッチな商品を多く取り揃えるほうが売上が大きいのです。
これは、Amazonなんかを見ているとわかりますよね。
取り扱い商品が多いため、とりあえずAmazonとかで検索して購入する。
その商品単体で見るとたいした事無いけど、全体でみると売れ筋を超えているというあれです。
詳細はロングテールで調べてもらった方が良いと思うので、ここでは割愛させていただきます。
さて、そんなロングテールですが、尖らすというのにはもう少し足りません。
情報を尖らすというのは、ロングテールはもちろんのこと、そこに誰もが考えつかなかったアイデアを入れるというものです。
例題を上げたほうがわかりやすいと思いますので、例えばこんな例題はどうでしょうか。
あなたは靴下を販売している会社だとします。
新商品として履き心地が良い靴下を販売するとして、キャッチコピーはどう考えるでしょうか。
「最高の履き心地がする靴下」
正直、普通過ぎます。あり触れていますし、大手がこんなキーワード出してそうですよね。
そこにロングテール的な発想で、もう少しターゲットを絞ってみます。
「通勤中でもまだ寝ていられる履き心地」
すこしターゲットが絞られてきました。でもまだ弱いですよね。
ここで、そこで少し尖った表現も追加してみましょう。
「通勤中異性に触られても気づかない履き心地」
かなりグレーな表現かもしれませんが、いい感じに尖ってきました。
このように、尖るというのはターゲットを絞り、伝えたいことの斜め上をいく表現のことです。
尖ると何が起こるか、それは拡散されやすくなります。
この靴下買ってみた。異性に触られたけど気づくの遅れた。
なんて拡散され方すると良いですよね。
つまり、尖るとは大手が表現しにくいような斜め上の表現を使い訴求することです。
(2)大手販促に便乗して逆を張る
逆を張るというのは、キャンペーンなどで大手が行っていることのまるっきり反対をすることです。
例えば、SNSキャンペーンなど良く見ると思います。
商品を買ってSNSにアップしてくれたら、○○あげますなんてキャンペーンよく見ますよね。
この場合、かっこいいや可愛いといったキーワードが入ってくると思いますが、 ここは逆を考えましょう。
世の中のほとんどの人は、写真が下手なのです。
いくらインスタグラムが流行っているからって、9割は素人なのです。
基本的にかっこいい写真を撮ることが難しいのです。
そこでこんな考えはどうでしょうか。
「ださい写真キャンペーン。」
かっこわるい、ぶさいくな商品写真を投稿してもらうのです。
キャンペーンの告知の際にも、かっこわるい、ぶさいくな写真のサンプルも忘れずに紹介しましょう。
きっと、ユーザーとしてのキャンペーン参加に対する障壁も減ることだと思います。
また、面白いネタは、何かと拡散されやすいのはご承知の通りです。
このように、大手がやっているキャンペーンに対して、便乗ついでに逆を張ると拡散されやすいというのもありますが、 なんといっても、大手が告知している形での便乗なので、販促費が少なくてすむというメリットがあります。
同じキャンペーンでは太刀打ちできませんが、逆を張ることで対等は言いすぎにしても、いいところまで持っていける可能性があります。
(3)ツッコミどころを作るために不完全なものを配信する
人って、何か間違いがあったりすると、ツッコミたくなりませんか?
これを逆手に取る方法が不完全法です。
「90%の人が履き心地に満足しました。※全国主婦100人へのアンケート」
あれ、通勤中のOLが対象だったんじゃ・・・。
ツッコミたくなりますよね。
こういう考えたらちょっとおかしいという情報は、SNSとかで拡散されやすいのです。
「この靴下のコンセプト通勤なのに主婦アンケート。」
みたいなのが拡散されると、それはそれでOKだと思います。
その他、商品の使い方が少し変な写真だったりするのも効果的。
女性向け商品のCMなのに、なぜかおっさんがCMしていると、それだけで違和感がありますよね。
このように、あえて完璧なものを作らず、不完全なままリリースすることよって、 ユーザーにツッコませることを狙ったクリエイティブは逆に大手ではできないことなのです。
大手であれば、それだけブランドや背負っているものが違います。
中小だから出来ること、それは面白さを狙ったクリエイティブなのです。
ちなみに、大手がこの戦略で来られると、太刀打ちできません。笑
(4)広告予算を極端に配分する
それぞれのクリエイティブや販促企画については分かりました。
では、それを告知するための広告予算配分はどのように考えるのが良いのでしょうか。
低予算なのに、WEB広告では30万円、雑誌掲載に70万円、PR活動に20万円・・・なんて予算配分考えていませんか?
もし、広告予算があまりないのであれば、一点集中買いをおすすめします。
中途半端にお金をかけるほど無駄なものはありません。
どうして中途半端になるのか?
それは、販促は一定の金額をかけないと効果が分からないからです。
費用対効果は基本的に比例するものではありません。
ある一点を越した瞬間、二次方程式みたに爆発的に効果が出るのです。
またKPIの観測を行う際に、効果が薄すぎて誤差程度しか観測できません。
これでは、その販促が成功だったのか失敗だったのかさえわからないのです。
もちろん、商品やサービスの属性によって何を一点買いするかは変わってきますが、 WEB広告であればリスティング広告が一番KPIとしては分かりやすいと思います。
まずはリスティングを行い、先ほど決めた尖った表現に対して、どれだけの人が来るかを観測してみてください。
ある程度の経験が溜まると、この費用でこのぐらいの効果というのが分かってきますので、 それが分かってから次に進めることをおすすめします。
つまり、極端な広告予算配分を行うことで、費用対効果が測定できるのです。
経験では、100万程度の予算を分配しても、意味がありません。
100万円をすべてリスティングにつぎ込むぐらいの一点張りの方が、何かと見えてくるものがあります。
(まとめ)中小が大企業に広告で勝つためには拡散が必要
今回ご紹介した方法は、実際にいろんな現場で使われている手法です。
予算をいくら使っても良いと言われればそれが一番良いのでしょうが、 予算が無い案件なんていくらでもあります。
結局、予算が無い中で、予算が潤沢な大手に勝つためには「拡散」が必要なのです。
SNS時代、個人がそれぞれ発信する力を持ち始めています。
そして、その個人が集まれば、やすやすと大企業を打ち負かすことができるのです。
大手が予算を掛けたのにも関わらず、ステマの一言でクローズしたものなんて沢山あります。
逆に考えると「個人」を見方につけると、予算が無くても大手に勝てるのです。
個人が拾ってくれやすくするために「尖った表現」を行います。
中小が大手に立ち向かうという構図を作るために「逆を張る戦略」を使います。
ツッコんでくれる事を期待して「不完全なもの」を作ります。
それぞれすべてが「拡散」のためにあると言っても過言ではありません。
このような拡散を狙った広告を作ることこそが、大手の広告に勝つための武器になるのです。
つまり、商品を「知ってもらう」広告としての機能はもちろんのこと「拡散」される広告を発信する必要があるということです。
あまり拡散を狙いすぎて「炎上」してしまっては元も子もありませんので、そのさじ加減にはご注意ください。
ではでは、よい広告を手がけてくださいね!