取引のある広告代理店からLGBTの話を伺う機会があり、改めてLGBTについて考えてみることに…。 LGBTの存在は知っていましたが、なんと人口の7.6%もの人がLGBTとのこと。 その人口割合がもたらす市場の可能性にマーケターとして予測してみました。
LGBTとは
LGBTは近頃よく聞くようになってきました。
LGBTとは、性的マイノリティ(性的少数者)のことであり、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字をとったものです。 日本でも少しづつですが、LGBTについての理解も広がりつつあると思います。
このLGBTについて理解することが、マーケティング的な観点においても”新しい市場”の創造に繋がっていきます。
それでは、マーケティングの観点に入る前に、それぞれ少しおさらいしていきましょう。
レズビアン(Lesbian)
女性に対して恋愛感情を持つ女性のことです。
人口にして0.5%ほどがレズビアンと言われています。
ゲイ(Gay)
男性に対して恋愛感情を持つ男性のことです。
ゲイ人口は0.9%。100人に二人ですから、友達にもいそうな感じです。
バイセクシャル(Bisexual)
男性、女性、どちらに対しても恋愛感情を持つことができる男性・女性のことです。
バイセクシャルの人口は1.7%ほどです。
トランスジェンダー(Transgender)
持って生まれた生物的性別と心の性別が一致しない人のことです。
こちらの人口は0.7%ほど。少し少なくなりました。
Aセクシャル
このAセクシャルというのはさらに聞きなれない言葉ですが、他社に恋愛感情を持たない性的マイノリティの人たちのことです。 人口は約1.0%。
その他セクシャルマイノリティ
上記のどれもに当てはまらない性的マイノリティの人です。
人口でいうと、2.8%程度。
Aセクシャルと、その他の割合についても注目です。 より詳細なことは専門のサイトに任せますが、とりあえずLGBTとは、このような性的マイノリティの人たちのことを指す言葉です。
LGBTの推定人口
先ほどの数値の合計すると、LGBTの人口は全国に約7.6%いると言われています。
この数字は、13人に1人の割合でLGBTということです。 なんと、左利きの人、AB型の人と同じぐらいの割合ということです。結構びっくり!
調査の元データは電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2015」によるものです。
電通がインターネットで全国の20~59歳をターゲットにしたアンケートを行ったことにより、 この日本におけるLGBTの割合は7.6%という結果になったそうです。
電通の調査なので、そこそこ信憑性はあると思いますが、 インターネットによるアンケートとのことですので、実際は7.6%以上いるかもしれません。
あくまで、その調査の結果がそうだったという認識でいいと思います。
そして、この7.6%という数字を、現在の日本の人口に掛け算してみると、950万人程度はLGBTという数字になります。
950万人ってすごい数字だと思いませんか?
950万人の顧客がいると考えると、かなりの市場と捉えることができそうです。
中々カミングアウトできない世の中ですので、もし、これが自然にカミングアウトできるような世の中になったとしたら、 マーケットとしてすんごいムーブメントが起きるのは必至です。
そんな感じで、今後起こりうるであろうLGBTのマーケットについて予測してみましょう。
LGBTにおけるマーケット
このように、多数のLGBTの存在が明らかになると、もちろん黙っていないのがマーケティング業界です。 なんと、その市場規模は約5.9兆円と試算されています。
この5.9兆という市場規模は、どのぐらいの規模なのか想像がつかないと思いますので、 他の市場規模を調べてみると、同じ5.9超規模の市場は以下の通りです。
アパレル市場:5.3兆円
家電量販店:5.3兆円
ドラッグストア:5.1兆円
市場規模については、以下のサイトを参考にさせていただきました。
これらの業界を見て、どのように感じるでしょうか。
市場規模としてはすごく大きいと思いますよね。
仮にドラッグストアと比べて見ましょう。 ドラッグストアなんて、それこそ1時間歩いていたら2、3件か必ず見つかると思います。
ちなみに、ドラッグストアの数は全国に約19,000店舗(2017年調べ)。
例えば、LGBT専門店が存在したとして、全国に19,000店舗に商売を成り立たせることができるぐらいの規模なのです。
ドラッグストアで有名なマツモトキヨシの売上高は約5,200億円です。
アパレルで有名なユニクロの売上高は1兆6,800億円です。
つまり、LGBTのマーケットはこれだけ大きく、まだまだ伸びる可能性があります。 そして、LGBTがより一般的になってくるとしたら、もっともっと市場規模は大きくなると予測されます。
この市場規模を誇る新しい産業というのは、まず見つけることは困難ではないでしょうか。
つまりLGBTマーケットは各業界が注目しているため、今まさにマーケティングが盛んに行われようとしているのです。
LGBT対象の商品・サービスの展開
ここで、LGBTを一つの市場と見るのであれば、どのような商品・サービスが展開できるのか考えてみたいと思います。
新しい商品、サービスはかなりの数を思いつきそうですよね。
LGBT向けのパートナーマッチングサービス
LGBTが市民権を得てくると、やはり考えられるのがパートナー探し系のサービス。 切り口なんかも、年収よりも趣味志向が重視されていく内容になると思われます。
サービスができたとしたら、登録する人は後を絶たないことでしょう。
LGBT専門の結婚式場
パートナーサービスがあるのであれば、結婚式場だってもちろん専門というものが登場するでしょう。
スタッフなんかもみんなLGBTの理解者。 こんな環境で結婚式をできるなんて素敵ですよね。
LGBT向けの化粧品
これも流行りそうですね。
女性は普段から化粧をしているのでそこまで需要は無いかもしれませんが、 特に男性向けのLGBT化粧品なんてできると、きっと使いたい人は多いはず。
例えば、攻め化粧とか、受け化粧とかのカテゴライズ、ちょっと見てみたいです。
LGBT向けのファッションアパレル
化粧品があるのであればアパレル関係ももちろん参入してきます。 ある意味、LGBTが一つのファッションにカテゴライズされるかもしれません。
渋谷系、原宿系、LGBT系なんてできそうじゃないでしょうか。
逆に、そこまで一般に浸透してくれる世の中をめざなければいけません。
LGBT向けの転職サービス
LGBTの市場がこんなにあるとしたら、LGBTの気持ちがわかるLGBTの人の専門転職サービスなんかできそうです。
LGBTの商品はLGBTの人じゃないときっとわからないはず。 冒頭でお話ししていた、LGBTの専門のマーケティング会社を設立した意味もわかります。
LGBT専門の芸能事務所
これはもうすでにあるかもしれませんが、やっぱLGBTに商品としての価値を見いだせるので、 それ専門のタレントさんとかいてもいいと思うのです。
TVに出るようなタレントから、雑誌モデルまで、様々な活躍が期待できますよね。
まだまだ産業は考えられそうですが、ひとまずこのぐらいにして、次はブランド化について考えてみたいと思います。
LGBTがブランドとして認知されるためには
このLGBTを一種のブランド戦略として捉えると、さらにLGBTの認知度つまりは寛容性が増してくると考えています。 一昔前なんて、オタクという意味は悪い意味で使われていませんでしたか?
今でも、たしかに一部は悪い意味で使われているかもしれませんが、良い意味でも使われているのはご存じのとおりです。 昔なんて、俺オタクだからなんてこと、一言も言えなかった時代がありました。
たとえば、パソコン×若者=オタクという図式がありました。
かなり若いころからパソコンを利用している私にとって、ちょっとパソコン好きやねんという言葉を言い辛かったのを覚えています。
でも、今は平気で言えます。 精神的に大人になったというのも、もちろんあるとは思いますが、それよりも世の中がオタクに対して寛容になった。つまりは優しくなったと感じています。
アニメしかり、アイドルしかり、決してオタクが悪い意味で使われているのではなく、愛称を込めて「オタク」と呼んでいる人も多いと思います。
このレベルまでLGBTを持っていくことが、今後のLGBTマーケットの成功に繋がるのではないでしょうか。
では、オタクに対して世界が寛容になったかについては、次の理由があると思います。
オタクが文化を作る
この言葉、すごく重い言葉です。
そう、文化を作るのは一部のオタク達なのです。 いわゆるマイノリティと呼ばれる人たちが、サブカルチャーだったり、はたまた文学だったりの文化を作るのです。
これは今も昔も変わっていません。
今は当たり前に感じていることでも、当時の世界ではマイノリティであったものが、徐々に認められ文化として大成したとき、世界は受け入れを始めるのです。
これと同じように、LGBTも文化を作ることが世界が寛容になることへの第一歩だと思います。
LGBTをより一般的に認知させるためには、LGBTをブランディングし、一つの文化レベルまで昇華させることが必要なのです。
マーケティングはLGBTマーケットとどのように関わっていくのか
この、LGBTをブランド化し、文化レベルまで昇華させるためには、もちろん産業の力が必要不可欠です。
というのは、LGBTの情報を正しく伝え、広めていくには産業無くして成り立たないからです。
情報を正しく伝えるということはマーケティングの使命でもあります。 今現在、この情報を正しく伝えることが出来ていないからこそ、まだ世界は寛容になっていないのではないかと感じます。
この記事を読んでいるマーケターのみなさんは、きっと、LGBTマーケットの今後を予測していると思います。
LGBTは個性の一つです。
我々マーケターはこの個性を歪んだ情報で伝えてはいけない使命があります。
それに、こんなにもマーケティング的に面白い市場が芽生えてきているのです。
LGBTマーケットの未来はきっとすばらいい規模になると思います。
そして、世の中がLGBTに寛容で、個性の一つとして捉えるような世の中になっていけるよう、マーケティングで関わっていく必要があるのです。