PRと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。何となくプロモーションと思い浮かべる人は多いはず。僕もこの世界に入るまではずっとそう思っていました。自己PRはずっと自分の売り込み=自分のプロモーションのことだと…。PRとは正式にはPublic Relationsと言い、公共と関係性を築くことを言います。関係性を築くといっても何やらわかりにくいので、もう少し詳しくPRを見ていきたいと思います。
PRはパブリックリレーションズの略
PRはアメリカでは18世紀にはじまり、元々は一方的な情報伝達手段として政府のプロパガンダに利用されていたそうですが、その後、19世紀に入ると情報の客観性が問われるようになり、一方項ではありながら、事実を重視した放送がされていました。そして、第一次世界大戦を挟み、相互理解をする目的として利用されはじめたのが、現在の形のパブリックリレーションズです。
つまり、PRとはプロモーションではなく、あくまで社会との関係性を築くための情報発信手段ということになります。
これが大きく広告宣伝と違うところです。
広告宣伝は企業などのお金を払う人側の主張を一方的に流すものであり、情報の正しさは関係ありません。多少の嘘が混じったとしても、クライアントがお金を払えば情報発信はなされます。
このことから、情報の公平性や信頼性においてはPRの方が断然信頼される情報であり、ターゲットの心にも届きやすい情報源であると言えるでしょう。
なぜPR(広報)は日本で理解されにくいのか
日本にPRの概念が入ってきたのは、第二次世界大戦後、GHQのマッカーサーにより広報の概念が導入されたそうです。
当時の日本は民主主義ではありませんから、国民の声を聴き、国の施策を理解してもらい、相手の相互理解のもと良好に関係性を築くなんて概念は無かったため、GHQは急速に民主化を図るべく広報の概念の導入を急ぎました。
何はともあれ、これが日本におけるPRの始まりであり、歴史的にみると僅か60年程度の歴史しかないのです。
終戦後、日本は急速に発展してきました。産業もしかり、ネットなどの環境もしかりです。このように、広告と広報の違いがあいまいなままでの急速な発展が弊害となって、広告と判別がつきにくくなったのではと推測されます。
さらに最近では広告でありながら、広報ぽく見せる記事広告などの手法が出てきたり、ネットの発展により企業が独自で広告を打てるようになったのもあって、さらに区別がつきにくくなっています。
広報・PRはプロモーションじゃない!
PRとPromotionは似ています。同じ「PR」で始まるためか、それこそずっと「自己PR」のことを、「自己プロモーション」だと思っていました。
つまり、自分を売り込む行為を自己PRと若かりし僕は思っていたわけです。ハズカシイ。
しかし、冒頭で書いたように今でもPRをプロモーションと勘違いしている人は多いはず。今度の新商品のPRどうする?と聞いた時、かなりの人達が広告のイメージを持っています。
何度も言いますが「PRとは社内・社外問わずステークスホルダーと良好なコミュニケーションをとること」を言います。主が商品ではなく良好なコミュニケーションを取ることなのです。経営戦略や事業戦略といった会社のメッセージを、広報が世の中に正しく伝えることが仕事です。特定の商品やサービスではなく、あくまで企業と社会との円滑なコミュニケーションが目的になります。
こう考えると、PRは全然プロモーションじゃないことが分かると思います。プロモーションはあくまでその企業や商品を企業目線で広く知らしめることだからです。
つまり、一方的に主張を認知させるのがプロモーション。社会との関係を築くために事実を客観的に伝える役目が広報・PRなのです。
PRとプロモーションの大きな違い
基本的に広報・PRにはお金がかかりません。あれ?お金かかったことあるぞと思った人は、それはPR活動を外部の会社に投げているからではないでしょうか。
これはあくまで、PR会社の手数料といった形で料金がかかっているのであり、実際のPR活動自体は費用はほぼかからないと思っていただいて大丈夫です。
広告には莫大な費用がかかるのに、広報・PRはかからない。じゃあPRだけでいいじゃんと思うかもしれませんが、プロモーションと広報には、それぞれの特徴があります。
それでは、PRの主な特徴は次の通りです。
- 費用がかからない.
- メディアが流したい情報だけが流れる
- 企業が流したい情報が流れるとは限らない
次に、プロモーションの特徴です。
- 費用がかかる
- メディアに左右されずタイミングなど自由に流せる
- 企業が流したい情報を好きなように流せる
つまり、PRはメディア都合であり、プロモーションは企業都合です。お金を払う対価として情報を流してもらっているため、比較的自由な情報を好きなだけ流せます。一方、PRの方はメディアが取り上げたい情報がメディアのフィルターを通して流れていきます。
逆に言うと、企業にとっては流してほしくない情報なども流れる可能性があるのがPRです。
PR会社は何をしているのか
それでは一体、広報・PRを専門にしているPR会社は何をしているのでしょうか。それは、企業がPR活動を行うためのノウハウの提供および代理でPR活動を行うのがPR会社です。
日本において広報・PRは中々理解されにくい現状であることをお伝えしましたが、理解されていないということは、それだけ企業にノウハウが無いと同義になります。
折角無料で商品を認知させていくことのできるPRなのに、その手法ややり方が分からない人のために、代理でやってくれるのがPR会社の存在意義です。
広告代理店との違いは、メディアの枠を買って広告をアサインしたり、広告を作るのが広告代理店ですが、広報・PR会社は枠といった概念はありません。広報・PR会社の得意分野はメディアに取り上げてもらう方法であったり、見せ方といった部分だからです。
つまり、広報・PR会社は情報をニュースにするノウハウを元にPRプランを考え実行している会社ということになります。
PRは企業単体でも十分できる
何度も言いますが、広報・PRは企業と社会を繋ぐためのコミュニケーションツールです。これは、PRを行うにあたって、企業単体でもできることを示唆しています。
例えば昨今良く話題にでる企業の公式Twitterなんかは、SNS広報として十分な機能を持っており、Twitterだけで消費者とコミュニケーションを取り大成功している企業もあります。
Instagramなんかもそうですし、もちろんFacebookだってそうです。社会とどのように信頼関係を築くかがすべて広報活動でありPR活動になるのです。
ノウハウについてはPR会社に分があるのはもちろんですが、実際、商品やサービスを知っているのはその企業が一番です。そんな企業が広報を熟知することが最強なのは間違いないので、社内で広報・PR担当を置くのがベストな選択です。
まとめ
PRは広報でありプロモーションではありません。広報・PR活動は企業の活動において超強力な武器になります。あなたが企業の人じゃなくても、PRの考え方を持っていると、将来役に立つこと間違いなしです。
また、一度PR会社と一緒に仕事をしてみるのもお勧めします。”その発想は無かったわ”的なPRプランが出てくるので、絶対会社のためになりますよ!
どちらにしろ、色々な視点を持って広報なりマーケティングなりをしていきたいですね!
ではまた!