タレントとのタイアップ。花形ですよね。憧れますよね。自社の商品があの女優さんとタイアップですよ。撮影立会になんか行った日には、ドキがムネムネして眠れません。そして当日、挨拶なんかされたら、ああ、ここの会社でよかった!と思う事もあるかもしれません。停滞していた愛社精神だってレベルアップしてしまいます。でも、続かないんですよね。商品が。
そのタレントはどのように選びましたか
タレントをタイアップする際、その有名人の何を見ますか。顔ですか、知名度ですか、イメージですか。自社の商品のイメージはこれだから、この有名人を使う。または、タレントが作りたい商品を作る。商品にタレントを付けるか、タレントに商品を付けるか、どちらでも構わないと思いますが、先ほど述べた選びかたはどれも失敗確定要素です。まあ、このサイト的には成功事例ですけれど。単にCMだけであれば、イメージ訴求で問題ないとは思いますが、タイアップともなると、そのタレントの何を見れば良いのか――それは思想です。
思想の違いで失敗
商品って、基本はしっかりとしたコンセプトがあると思います。そのコンセプトがイメージではなく、思想レベルでマッチしているかが大切です。そうでなければ基本もめます。本当にもめますよ?
タイアップ商品ということは、そのタレントの名前が商品に付随します。タレントさんとしても、変な商品に名前は貸したくないわけです。あたりまえですよね。それでこの思想の話になってくるんですが、思想というのは趣味嗜好、行動、生活スタイルすべてに関わってきます。
経験としては、思想がずれたことで、出せる商品に制限がかかったこと、制限がかかったおかげで、ラインナップを揃えられなかったことなど。タレントさんは基本的にわがままなものと思ってください。それはそうです。自身の名前でそこまで上り詰めた人なのですから、個性があって当然。その個性をうまく乗りこなしてください。
知名度をあてにして失敗
インスタフォロアー5万人!このタレントとタイアップして商品を作れば、アクティブな5万人にアプローチできる!そんな夢見たことないですか。私はあります。5万人のうち、1%でも購入していただければ、初回500は堅いなとかとらぬ狸のなんたらです。
ただ、現実はそんなに甘くはありませんでした。そんなにフォロアーがいるのに、実際の購入は数名だったのです。今にして思えば簡単なことでした。フォロアーが必ず購入客ではないのです。もしくは、女性向け商品をタイアップしたのに、そのタレントさんのフォロアーの8割が男性だったなんてこと――あったのはいい思い出です。
つまり、知名度と効果は別です。知名度なんて高けりゃいいってもんじゃありません。無名の親和性の高い人を使った方がぜんぜん良い結果なんてのもざらにあります。ギャラも安いしね。
では、どうやって測定すればよいのか。色々ありますが、SNSをやられている方なら、その人のフォロアーの属性をしっかりと確認してください。すべては無理でも、数百件どんな人かみるだけで何となく見えてくるものがあります。SNSをしていない場合、みんな大好きグーグルさんで調べてください。ブログ記事、どんな人がその人を紹介しているかなど。グーグルの写真検索でそのタレントさんを検索するのもありです。契約手前までいって、写真検索でやめたなんて人もいたりしました。まずは相手(タレント)を知ること、自社のターゲットとそのタレントの親和性をしっかりと見極めてください。そして、知名度が高い人ほど――です。
センスの違いで失敗
WEBサイトを作りました。どうでしょうか――「気に入らないから却下」。つらいですよね。しかもテープアウトまであと少ししか時間がない。デスマーチの始まりです。
これも個人の感想にはなりますが、タレントさんは自分が好きです。それはもう大好き。ナルシストです。つまり、自身が載るページや写真なんかは、かなりこだわりがあり、よく却下をされてしまいます。みなさんは良くお分かりだと思いますが、かっこいいだけじゃうまくいかないですよね。
トップページに自身のアップ写真。文字とかそういったものは、ダサいから嫌だ。SEO的にも、情報を提供するサイトとしてもかなりアウトなサイトです。当然、検索も上がってこない。そもそもページの内容が伝わっているかもわからない。それをセンスとひとくくりにしていいのかわかりませんが、しっかりとした打ち合わせ、ちょいダサになるかもなど親密な打ち合わせをお願いします。といっても、相手は非常に忙しい方なので、中々コンセンサス取れないですよね。
指名で失敗
タレントさんは人脈が豊富です。華やかな世界にいるおかげで、そうそうたるカメラマン、広告代理店、デザイナーを指名したがります。もちろん、それはそのタレントさんの魅力を100%発揮してくれると思っているから指名しているのでしょうが、私たちはタレントを売っているのではありません。あくまで商品、サービスを提供しているのです。
一流のタレントには一流のスタッフ。一流のスタッフには一流の費用。そう、コストがかさむのです。特に導入期のスタートアップだと、コスト回収ができるかどうかも怪しいもんです。主軸は商品です。ここ間違えないようにしてください。指名されそうになったら、ちゃんと断るようにしてください。一度指名を許すと、ずるずるといきますよ。まじ勘弁。
肖像権で失敗
何が無く使用している写真ですが、もちろん肖像権というものが付いて回ります。この肖像権というのが厄介で、しっかりと契約をしておかないと、後の追徴金、つまり費用の追加がやってまいります。
基本的に使用範囲、使用期間を決めて契約をするのですが、この使用範囲というものが曲者で、今後販売するにあたっての計画を立てておかないと、後からお金がかかってきます。かといって、契約時にすべての範囲でなどとしておくと、それはそれで費用がかさみます。国内に限る。この販路に限る。海外もOKかなど、適切に配置しておかないと、後で大変になりますよ。私のように。
タイアップすることで商品が売れるわけではない
これが最後に言いたいこと。タイアップで商品は売れません。顧客満足にも繋がりません。顧客満足とは、企業と消費者の信頼関係です。
タレントさんがいくら知名度があったって、信頼関係は生まれませんよね。あくまでタイアップはAttention(注目)の部分でしか活用できないのです。それ以降は、企業とのコミュニケーションを密にするしかないのです。
主役は商品、サービスです、それを注目させるための道具だと思ってください。そして、道具に使われないでください。こちらが使う気持ちでいかないと、お互い辛い思いをします。タレントさんは商品が終売になることによる風評被害を、我々は多額な販促費による財務圧迫に見舞われます。そして、誰も得をしない失敗を繰り返してしまいます。
タレントとのタイアップで失敗するには?(まとめ)
- タレントのイメージが商品とぴったり
- タレントの知名度が高い
- 商品訴求が○○も愛用