中小企業のマーケティングを見直すべき5つの理由とは

マーケティング

マーケティング部が無いと答えている中小企業は約6割にものぼります。 マーケティング部はただのプロモーション部門ではありません。会社のコミュニケーションツールとしても、市場を開拓する武器にもなります。中小企業のマーケティングを見直すことで得られる5つのメリットをご紹介します。

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中小企業のマーケティング課題

中小企業におけるマーケティングは機能していないか、もしくは部署自体が無い企業がほとんどです。実際に100人規模の中小企業組織では、実感としてほぼマーケティング部はありません。

あったとしても、マーケティング部という名ばかり組織であり、 その実態はセールス部やただの商品企画だったりします。

それは、中小企業のほとんどがオーナー企業であり、 マーケティング活動が必要ないからというのもありますが、 そもそもマーケティングを理解していない組織が多いからです。

売れる仕組みづくりといっても、仕組みを作る前に売ってこいというのがオーナー本音ではないでしょうか。

資金的にも、人的にも余裕が無い組織で、マーケティングというのはほぼ理解されません。

このように、中小企業のマーケティングの本質的な課題は、マーケティング自体がが理解されていないことが上げられます。

中小企業ではよく「そんなの大手の考え方だ」といった言葉を聞きます。これを聞くたびに残念に感じてしまいます。なぜなら僕は、中小企業こそマーケティングの正しい知識が必要だと思うからです。

というのは、マーケティングは営業せずに商品を知ってもらい、買ってもらう方法を模索する行為です。つまり、マーケティングがうまく回れば回るほど、人的リソースも、資金的なものも少なくてすむわけです。

さらにはブランディングに成功すると、顧客獲得単価も飛躍的に安くなるため、 最終的には販促費などをそれほどかけなくても、勝手に売れていく状態にすることができます。

マーケティングは大手企業のような潤沢な資金がないとできないわけではありません。逆に小回りの利く中小企業の方がマーケティング活動が活発にできることもあるのです。

それでは、マーケティングが正しく機能することによるメリットを見ていきましょう。

理由1:売上を客観的に分析できる

マーケティングなので当たり前といえば当たり前なのですが、マーケティングの基本は分析です。この分析において、マーケティング的な考えができないと、どうしても主観的な分析になりがちです。

例えば、営業部が売上を見たとしましょう。

○○商品の売上が悪い。これは悪い商品だなんてこと簡単に言ってたりしませんでしょうか。

実はこの手の話、よく聞きます。

ターゲットもセグメントも何もかもが適当な所に、何かしら商品を投入する。

売れなければ悪い商品、売れればいい商品。

こんなレベルの判断しかしていない会社、たくさんあります。

そもそも、正しい商品だったのか、ターゲットは正しかったのか、 セグメントは適切なのか、商品の売り方はどうだったのか。

この辺りを分析して、はじめて戦略が立てられるのです。

戦略、仮説無き実践ではノウハウが残りません。

仮説と検証を繰り返し、ノウハウとして蓄積されていくのです。

分析業務はマーケティングの基本です。売る方ばかりに目を向けていないで、前段の仮説部分の重要性を理解する必要があります。

理由2:情報の分析と意思決定がシステム化されることでノウハウが残る

マーケティングを正しく活用できることはすなわち、分析、情報の共有、意思決定の業務プロセスを組織だって行うということです。

これは、情報を個人の主観によるものではなく、組織としてどのようにインプットして、 どのようにアウトプットしていくかをシステム化するということでもあります。

マーケティングを正しく活用することで、情報の平準化ができるわけです。

オーナーの一存や、発言力の強い人の言葉で決まっていた物事では限界があります。

マーケティングを行うことで、分析データなどのエビデンスを元にした意思決定が可能になるのです。

一人のスーパーマンの出す素晴らしいアイデアも大切かもしれませんが、 ノウハウを残すという意味において、アイデアを出す際のプロセスをルール化することがとても重要です。

KKD(感と経験と度胸)から抜けだすためにも、 マーケティング部を設置し、分析~意思決定という業務をシステム化することが大切なのです。

というのも、スーパーマンはいつかいなくなるからです。

それは、退職かもしれませんし定年かもしれません。それこそスーパーマンなので引き抜きという可能性もあります。

このように、マーケティング部による分析~意思決定のシステム化が、会社の財産(ノウハウ)を残すのです。

※ちなみに、今のKKDは(仮説・検証・データ)です。 詳しくは別記事にまとめておりますので、そちらをご参考ください。

https://damema.net/article/56/

理由3:情報のハブ化により個人商店化を避けられる

中小企業でよく見られる現象として、個人商店化があります。

それは、一人が多くの物事を行うため、その人しかわからないことが蓄積され、 気づけばその人が個人で商売をしているような形になるからです。

特に、商社系の営業は、この特徴が顕著に表れています。

人材が不足しがちな中小企業は、売上を上げるためには、 お客様の仕入れたい商品を営業が仕入れ、営業が売るという構図になります。

これが、個人商店化の第一歩です。

築けば営業は御用聞き営業になり、社内での発言力も強くなって、 組織がめちゃくちゃに・・・なんてことになりかねません。

そこで、マーケティングを活用します。

マーケティングが情報を吸い上げ、整理することで情報のハブになります。

情報が集まり、コントロールすることで、営業の個人商店化を抑制することができるのです。

ちなみに、営業の個人商店化ほど組織を壊すものはありません。

販路はばらばら、取扱い商品はばらばら。

売るために価格を下げたり、A社とB社で販売価格が違いすぎてクレームなんてこともありえます。そんなので、ブランディングなんてできるわけがありません。

営業の個人商店化をさけるためにも、情報のハブとしてのマーケティングは必要なのです。

理由4:部署間のコミュニケーションが活発になる

マーケティングが正しく機能することで、部署間においてのコミュニケーションが活発になります。

というのも、マーケティングは横断的な役割があるからです。

企画、開発、販売、流通などすべてにおいてマーケティングが絡みます。

企画段階では、市場調査や分析でサポートし、開発分野では価格設定やパッケージデザイン、 販売においてはプロモーション、流通においては販路の見極めなど、 それぞれの部署を横断しながら活動をしていきます。

組織横断的な組織があると、やはりコミュニケーションと情報共有という意味において必ずプラスに作用します。

組織が縦割りすぎて、連携がうまくいっていない会社結構ありますよね。

コンセプトはいいんだけど、開発が思ったスペックがでないだとか、 販路と商品のイメージが違いすぎて、思ったように売れないなど、 様々な問題について、マーケティングが道しるべになってくれるのです。

このように、マーケティングは組織横断的な立場として存在するため、コミュニケーションを活発にする役割も担います。

理由5:ニッチな市場でマーケティング活動ができる

実は最高のメリットじゃないかと考えています。

中小企業はハンドリングが軽いのです。

ちゃんとしたマーケティング部門がある大手だと、いくら面白い市場があったとしても、 本体が重たいので、そこに参入することはできません。

逆に、中小企業はニッチな産業に入りたい放題です。中小企業ならではの身軽さを活かし、そこそこの市場でナンバー1を取ることもできるかもしれません。

そして、ニッチな市場こそマーケティング活動が大いに役立ちます。なぜなら年間10億程度の市場規模では、大手は参入できないのです。

たった10億だとしても、その市場の半分をとれたとしましょう。それだけで5億です。中小企業にとって5億は魅力的な市場ではないでしょうか。

そもそも10億程度の市場においては、マーケティング活動はほとんどされていないため、ニッチな市場で動ける中小企業がマーケティングという武器を持つことのメリットは計り知れません。

つまり、ニッチな市場でマーケティング活動を行うことで、市場のトップになれる可能性があるのです。

中小企業こそマーケティングが活躍できる

マーケティングというと、どうしてもセールスプロモーションだったりな認識になりがちですが、 今回ご紹介した内容は、これっぽっちもプロモーションには触れていません。

というのも、中小企業ではプロモーションに費用をかけることが難しく、 プロモーションに触れても、実効可能ではないと考えるからです。

しかし、マーケティングはプロモーションだけではありません。

社内活性化や商品づくり、会社の戦略についても力を発揮できるのです。

会社がマーケティングがプロモーションの一部としか捉えていないのであれば、それはもったいなさすぎです。

簡単にですが、マーケティングにおける定評のある定義は次のようになっています。

マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。

つまり、マーケティング部を置くことは、社会全体(会社全体)にとって、価値ある情報を伝達することに繋がるのです。

もし、今あなたが会社のマーケティングに課題を感じているのであれば、まずはマーケティングを正しく理解するように勉強会などを開いてはいかがでしょうか。

会社全体がマーケティングを理解すると、驚くぐらい業績が伸びたりするので、中小企業にこそマーケティングを活発に行える環境作りに力をいれていきましょう。

また、会社にマーケティング部が無い場合は上司に相談してマーケティング部を作ることも検討してみてください。部を作るのは並大抵の熱量では無理かもしれませんが、マーケティング部を作ることのメリットを伝え、真摯にアタックしてみてくださいね。